『東芝 不正会計 底なしの闇』 今沢真 20161月 毎日新聞出版

 

 

 これは、毎日新聞社のニュースサイト「経済プレミアム」の編集長の手による、東芝の不正会計問題を時系列的に分析したビジネス書である。

 

 すでに、東芝は今期の赤字が7100億円に達すると発表した。今回の不正会計問題が如何に高くついたかを物語る。

 

 東芝はガバナンス体制を整えていたはずであったが、その実態は形だけと断罪されてしまった。企業の経営に強力なリーダーシップは必要である。が、東芝の過去三代の社長は単なる独善と無責任でしかなかったということだろう。

 

歴代三人の社長は、チャレンジと称して部下に過剰な要求と利益の水増しをさせ、挙げ句の果てに事業継続を危うくするところにまで会社を貶めた。

 

その中の一人、田中社長が辞任に際して放った言葉は「私は指示していない」であった。一方、経営、業務、そして決算内容を監視するはずの社外取締役も、その顔ぶれが外務省の天下り役人や大学教授では、経営は分からないし、財務も分からない。つまり、単なるお飾りでしかなかった。

 

 監査を請け負っていた新日本監査法人も似たようなものであった。「節穴監査」、つまり、顧客である東芝におもねって、やるべき事をやらなかった。この新日本監査法人は、オリンパスの粉飾事件でも同様な過ちを犯している。新日本監査法人は、今回の問題で金融庁から21億円の課徴金という処分を受けた。東芝同様、信頼回復の道のりは相当厳しい。

 

 日本では米国流の企業統治に批判もあるが、では日本はどうなのかと問われれば、世界の規範になりますよとは言えないのが現実である。

 

 

 

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