『そして日本経済が世界の希望になる』 ポール・クルーグマン著 山形浩生監修 大野和基訳 201310月 PHP新書

 

 

 この本は、山形氏がこれまでに翻訳、出版してきたポール・クルーグマンの著書、『クルーグマン教授の経済入門』や『さっさと不況を終わらせろ』の延長線上にあり、日本の読者向けに出した出版である(つまり、海外では出されていない)。

 

内容は今更ここで説明するまでもない。デフレ脱却にはインフレターゲットと財政支出による経済への刺激しかないという、彼が今まで言い続けてきた主張であり、それを実践したアベノミクスへの支持と賞賛である。

 

 そのあたりの話は今更ながらなので、書を買って読んで頂ければそれでよし。ちょっと面白いのは、10年後の世界経済に対する彼の洞察、いや放談である。

 

10年後世界のリーダーは誰だろうか?

 

今や飛ぶ鳥を落とす勢いで経済成長を続ける中国は、その地位を手にすることが出来るのだろうか?いやいや、中国も人口の老齢化は直ぐそこに来ており、今後も年率8%という高い経済成長を期待するのは、ちょっと楽観的すぎる。それ以上に環境破壊は深刻であり、北京は快晴の日でもスモッグで見通しがきかない。これが中国の将来の発展に大きなボトルネックとなるだろう。やはり10年後も、米国がリーダーであり続ける。

 

 一方、日本の将来はどうなるのだろうか。

 

彼は、10年後も日本が世界第3位の経済大国であり続けることを願っているという(この願っているというのは、微妙な言い回しである)。そのためには、英語をもっと使えるようになることが必要とアドバイスする。英語はグローバル経済の入り口であり、否が応でもそれが現実であると、彼は言う。

 

私は、何を置いても英語とは言わないが、日本人が内向きになりすぎているのは問題だと感じている。韓国人の英語がうまいとは思わないが、彼らの方が外に出ようという意志を強く持ち、それを実践していることは事実である。

 

 

 

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