『荒くれ漁師を束ねる力』 坪内知佳 20179月 朝日新聞出版

 

 

何の機会であったのか思い出せないが、彼女の話は聞いた覚えがある。それが本になって出版された。

 

僅か24歳のシングルマザーと荒くれ漁師、普通で言えば全く異質、異次元の世界で暮らしていた人間が一緒になって新しいビジネスモデルを成功させたというお話しである。

 

もちろん常識も行動も違う若造(いえいえお姐さんです)と口より手の方が先に出る漁師がそう簡単に纏まるはずはない。自ずと、仕事の立ち上げは波瀾万丈の道を辿る。詳細は本を読んでのお楽しみである。

 

私が感心したことは、彼女(著者)が女性実業家としての華々しい経歴を持っていたわけではない点である。

 

彼女が言うように、外語大学に入ってキャビンアテンダントになるつもりでいたものの、身体を壊して大学を中退、そして親の反対を押し切って若くして結婚、子供を持ったもののやがて離婚、その子供を抱えて必死の生活をしていた中での起業である。華麗な経歴を持つ女性実業家の姿からはほど遠い。

 

彼女が事業を成功させた裏には幾つかの理由があるだろう。

 

まず、本人が言っているように実家がそもそも家業を営んでいる、つまりサラリーマン世帯ではなかったことで、事業を興すことが当たり前の環境で育ったこと。

 

そして彼女自身の資質——死なない限り、何事でもやれば出来るという意志の強さであろう。若干24歳で子供を抱えたシングルマザーがそれを成し遂げたというのは、やはり凄い。

 

やれないこと、やらないことの言い訳ばかりで、結局何もしない男どもに一度読んでみることをお勧めする。

 

 

 

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