籾井NHK会長の「従軍慰安婦問題」発言の波紋 (2014/1/28)
籾井会長の発言が相当な波紋を投げかけることになった。
朝日新聞は籾井発言を問題視し、紙面を大きく割いて報道した。マスメディアとしての朝日新聞のこれまでの主張、それに加え、これまでのNHKとの確執を考えれば当然の反応であろう。一方、大阪の橋下氏は、籾井会長の発言が橋下氏のこれまでの発言と同様な趣旨であり、擁護に回った。
当然この発言は政治問題化する。野党側は国会審議でこれを追求すると述べ、NHK予算の審議に影響する事が避けられなくなった。自民党議員からも籾井発言を問題視する発言が出ているなか、菅官房長官が27日の記者会見で、発言を問題視しないと述べ、火消しに回った。
さて、籾井会長は記者会見でなぜこの発言をしたのだろうか。新聞を読む限り、籾井会長は発言中に記者からこれは記者会見ですよと指摘されて、直ぐさま発言を撤回すると述べているので、彼は後先を考えずに日頃の思いを口にしたのだろう。とすれば、籾井氏が果たしてNHK会長として適任であったのかという疑問が湧いてくる。少なくとも、会長就任の記者会見で答えるべき内容の質問なのか、もし持論を言えば何が起き、それに対して同対応すべきか、その思慮が働かなかったのは余りにもお粗末すぎた。
籾井会長の就任には、安倍首相の意向が強く反映された結果と言われる。そのような背景で就任したとすれば、彼にもそれなりの腹づもりがあったのだろうと思うが、この発言の顛末を見る限り、NHKの運営を立て直すぞという気概は感じられない。慰安婦問題に対する考え方そのものは別として、軽く思いつきを発言して、事の重大さに慌ててそれを撤回するというのでは、とても彼にNHKの経営ができるとは思えない。
不祥事を契機に起きた受信料の不払い問題、経営の赤字、公共放送としての中立性、全てについて世論と政治に翻弄され、やっと黒字を確保できる体質になったところでの会長交代である。彼に名誉職程度の意識しかないのであれば、NHKの経営がまた水面下に沈むことにもなりかねない。ま、それはそれでよかろう。そもそも公共放送とは言っているが、中立性という点では国営放送と変わらないのだから。