死に体の民主党--菅降ろし (2011/6/5)

 

 

首相不信任案を否決したものの、辞任の時期を巡って、またもや党内は大混乱。菅さんの読みが甘かった事もあるが、党内の反菅勢力にとっては、日本大震災復興の第二次補正予算や特例公債法案の審議よりも、菅さんの首を取ることが重要課題であるらしい。

 

民主党がかつて野党であった時代には、自民党の派閥政治を非難していたが、今の民主党はそれ以上にひどい状況になっている。まさに党を巡る大抗争である。鳩山前首相の「ペテン師」呼ばわりの発言には、もはや開いた口がふさがらないが、事ここに至っては、菅さんが党を引っ張っていくことは、もはや不可能となった。

 

朝日新聞と読売新聞が、菅首相の不信任決議について、世論調査結果を発表した。読売の調査では54%、朝日では52%の回答者が、退陣がよいと答えている。退陣すべきでないという答えは、読売で36%、朝日で29%にとどまり、国民の多数意見としては、辞任やむなしということであろう。

 

だからといって、次の政権が菅さん以上の成果を示すことができるのかと問えば、朝日の調査では61%が期待していないと答えている。つまり、菅さんの首をすげ替えたところで、国民は次に期待しているわけではない。

 

民主党が深刻にとらえるべきは、鳩山グループと小沢グループが自民党の不信任案に賛成しかけたことで、民主党に対する国民の不信感がますます高まっていることである。一方、不信任案を出した自民党についても、評価はこれまた相当悪い(回答者の60%が不信任案提出を支持していない)。

 

新聞報道を見る限り、菅さんは8月を目処に辞任するようであるが、このように民主と自民両党に対する支持が急速に下がるなか、次の政権に残された道は他党との連立に絞られることになろう。しかし、連立となれば、お互いの妥協の中でしか政治決断はできず、思い切った政策の実現はますます難しくなる。震災の復興とフクシマ原子力災害への対応は喫緊の課題であるが、環太平洋経済協定(TPP)への参加問題、税制改革を含めた財政の立て直しにも、早急に手を打たねばならない。ところが、政治に期待することはとうてい無理というのが、多くの国民の冷めた見方である。

 

まことにお粗末な日本の政党政治である。

 

 

 

 

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