原発の闇 (2019/9/30)

 

 

関西電力の役員が2011年から7年間にわたって、高浜原発が立地する高浜町の元助役から32000万円ほどの金品を受け取っていたことが明るみに出た。発覚のきっかけは、国税の監査である。

 

この元助役、既に今年3月に90歳で死亡しているが、197778年に高浜町の助役を務めた後、高浜原発に関わる下請け企業の役員になったという経歴を持つ。この元助役にも、高浜原発の工事を請け負う建設会社から3億円の資金が流れていることが税務監査で分かっており、関電が下請け企業に支払った一部の金が回り回って関電の役員にまで流れたということである。

 

新聞がこの記事を掲載したのは昨日のことであるが、週間朝日オンラインの記事によれば、この裏金について、この3月に関電社内で告発文が出回っていたという。どう転んでも、いずれは明るみに出る話だったのだろう。

 

原発を巡っては、この手の話がついて回る。

 

原発は事故を起こせば取り返しの付かないリスクを負うので、立地は非常に難しい。それゆえに、電力会社は地元に莫大なカネをばらまき、力尽くで原発受入を納得させることになる。加えて2011年の福島第1原発事故以降、原発の安全対策費は大きく膨らんだ。

 

関電ではその額が1250億円に及ぶという。これだけのカネが動けば、利権にあやかろうとする人間がうごめき、その裏で多額の金が流れる。正に魑魅魍魎の世界である。

 

東電が福島第1原発の処理に、正直なところあと何十年かかるのか見通しが付かない。その費用は10兆円で済むのか、20兆円で済むのか、はたまたそれを遙かに超える金額になるのか、それも分からない。そんな東京電力の状況を横目で見ながら、関電は原発を巡る裏金のスキャンダルにまみれた。

 

原発とはすなわち闇の世界に住む魔物ということなのだろう。福島第1原発事故で帰還困難区域に指定されたままの双葉町が、その昔原発を誘致したときの標語が「原子力明るい未来のエネルギー」であった。ブラックジョークではない。現実に起きている悲劇である。

 

 

 

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