若者の政界進出。いいじゃないか! (2023/4/24)
昨日、衆参両議院の五つの補欠選挙と統一地方選挙後半戦の投票が行われた。
総務省の発表によれば、今回、373の地方選挙のうち、123の町村では定員を超える立候補者がなく、無投票になったという1/。最大の理由は、地方から若者が出てしまったこと、若者にとって地方選挙がもはや関心事ではなくなったことにある。後者の事情は都市部でも同じ傾向にあり、投票率の低さとなって表れている。
そんな中、今回の後半戦の選挙では、「おっ」と思わせるような選挙結果があった。若者と女性の政界進出である。ニュース記事を拾ってみると、こんな二人を見つけた。
兵庫県芦屋市長選で、26歳の無所属新顔、高島崚輔氏が現職ら三氏を引き離し、初当選した。ウェブをググってみると、彼の略歴があった。灘高校を卒業し、当初、東大に入学したが、半年で止め、ハーバード大学に移った。ハーバートでは環境工学を学び、在学中に芦屋市でインターンを経験したことで、市政に関心を持ったと言う。大学を卒業し、芦屋に移り住み、留学支のNPOに携わりながら、今回の選挙に出たというのがこれまでの流れである2/。
私が一番感心したことは、彼が成績優秀であったということ以上に、自分が何を学びたいのか、その知識を何に使い、何を実現しようとするのかという人生目標を明確に持っている点である。いわゆる政治家について回る三バン「ジバン(地盤=後援会組織)、カンバン(看板=知名度)、カバン(鞄=カネ)」など全くもって無縁ながら、立派に投票者の支持を獲得した。一言で言えば、志の高さである。
二人目は、衆院千葉5区の補欠選挙で当選した自民新顔の英利アルフィヤ氏(34歳)である。彼女は両親とともに日本に帰化したウイグル系日本人である。米国であれば、親が異国民であった政治家や起業家は珍しくも何ともない(近い所で言えば、オバマ元大統領やイーロンマスクがその代表例)。日本でも、そんな多様性を持った若い女性が政治家として現れた。凄いじゃないか。
前述の高島氏と同様に、彼女の経歴も素晴らしい。ご両親は中国・新疆ウイグル自治区出身で、父親はウイグル系日本人、母親がウズベク系日本人。彼女自身は日本で生まれ育ったが、父親の転勤で10歳のときに中国に渡り、現地のアメリカンスクールへ通った。その後、米国ジョージタウン大学で国際政治を学び、大学院修了後、日銀に入行。その後国連職員に転じ、アジアの人権問題や安全保障などに取り組んだ3/。多様な血を受け継ぎ、多様な教育を受け、多様な職歴を経た後、政治の道へと進んだ。素晴らしい。
私が今の政治に願うことは、老害を排除し、若さと多様性を吹き込むことの必要性である。さもなくば、日本の政治と日本の将来は、ほんとうに「老死」してしまう。
1/ NHK News Web (2023/4/21 20:07)
2/ 朝日新聞デジタル版(2023/4/23 23:36)
3/ 朝日新聞デジタル版(2023/4/23 9:00)