『靖国神社の緑の隊長』 半藤一利 20206月 幻冬舎

 

 

先月お亡くなりになった半藤一利氏の遺作である。といっても、新しく書き下ろしたわけではなく、彼が1961年に執筆した『人物太平洋戦争』の中から8偏を選び、書き直したものである。

 

太平洋戦争では日本軍の240万人が亡くなったと言われる(210万人強という数字もある)。そのうち7割が、本土からは物資の支援がないまま離島や山の中で孤立し、餓死・病死している。米軍の死者数は40万人ほどであったという数字を見れば、日本軍の死者が如何に無残なものであったかよく分かる。

 

靖国神社にA級戦犯が合祀されたことで、国際的には中国や韓国との間で政治的な問題を引き起こしたばかりでなく、日本国内でも様々な葛藤を起こした。そしてA級戦犯の合祀後、天皇陛下がここを参拝することはなくなった。

 

敗戦となった途端、自らの責任に口を拭い、責任を回避した指導者も少なからずいた。

 

その半面、戦後ひたすら自分のやり方で責任を取り続けた末端の部隊長もいた。これは、そんな人達の物語である。題名には靖国神社という言葉が入っているが、一人を除いて、他の方々は祀られてはいない。

 

戦争が終わって既に75年が過ぎた。平和な今の日本は、ここで描かれたような人達の犠牲に上に成り立っている。そんな思いを持ってこの本を読まれるとよかろう。

 

 

 

 

 

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