一寸、いい話 (2020/11/27)

 

 

今年も残すところ、あと一ヶ月余り。喪中の挨拶がぼつぼつ届き始める。

 

そんな挨拶状の中に、古い友からのものがあった。久しぶりなので、Eメールで挨拶状を受け取ったことに加え、近況を書き送ってみた。

 

折り返し届いた彼からの返信には、今年で大学の職を去ること、また私には伝えていなかったが二年ほど前に脳出血で倒れた事があると書かれてあった。

 

さらに、こんな話も書いてあった。彼の講座にいた中国人留学生の一人が恩師である彼が脳出血で倒れたことを知り、次のような電話を掛けてきたと言う。

 

「先生、私お金持ちになりました。成功したからお金あります。先生の口座番号教えてください。どこに送ったらいいですか?」

 

もう日本では耳にすることが無くなった一寸いい話ではないか。日本で学んだ彼女は帰国し、立派な地位を手にするに至った。

 

彼女の故郷四川省は中国の内陸部にあり、沿岸部に比べれば決して豊かではない地域、というのが私の理解である。そんなところから日本に留学し、それを糧に仕事で成功を収めた。恩師が病に倒れたと聞きつけ、お金を送ると電話を掛けてきた。

 

大志を抱き、勉学に励み、功成り遂げた。そして恩師の窮状を知り、助けを申し出る。日本では、そんな行動力と一途さを持った学生は、今では目にすることが無くなった気がする。

 

 

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