女性と仕事、そして人口問題 (2014/3/29)

 

 

今週のエコノミストに日本の女性と仕事に関わる記事が出ている。丁度時を同じくして、今日の朝日新聞には7年連続して日本の人口が減り、昨年は最大の減少を記録したとの記事があった。どちらの記事も超成熟化しつつある日本の社会をどう変えていくかを考えさせられる話である。

 

エコノミストの記事は、日本では女性が働き続けることが難しく、その労働力を活かすことができない状況に焦点を当てたものであるが、出生率の低迷についても分析がある。日本の女性は第一子をもうけると70%10年以上にわたって仕事を辞めてしまう。一方、アメリカではこの比率は僅か30%にすぎない。

 

日本社会の超高齢化を見れば、女性が働かなければ国が持たないことは明らかである。日本が直面している問題は、経済を支えるために女性の労働力の活用が不可欠である半面、当の女性は子供を持つと仕事を続けられなくなるという壁にぶつかることにある。

 

安倍首相のお友達である長谷川三千代NHK経営委員は、女性は家庭に籠もって子育てすることが本来の役割だと言ったようであるが、この手の考えを持つ年寄りは極めて多い(ちなみに長谷川委員も御年67才のご老人、お国の法令によれば「前期高齢者」に該当する)。

 

専業主婦といえば、その昔「三食昼寝付き」の主婦家業という言葉があったが、そんな古き良き時代はとうの昔に過ぎ去ってしまった。現実を見れば、もはや終身雇用、年功序列型賃金など昭和の幻想でしかなく、大半の男どもの給与は長きにわたって横ばいのままである。男であっても「大黒柱」になれないのが厳しい現実。当然、結婚しても伴侶に働いて貰わなければ生活できない。

 

NHKの長谷川委員のように女性が働く比率が高くなるから出生率が下がると思っているのならば、とんだお門違い。これもエコノミストの記事を引用すれば、25才から59才までのデンマークの女性が働く比率はいずれの年齢層を取っても80%を超えたままで推移する。一方日本の場合は、30才から39才までの年齢層で働く比率が落ち込み、60%を下回る。その後比率は上がるが、いわゆるパートタイムに代表される非正規、単純労働が主な職場となる。では出生率はどうであろう。合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に産む子供の数)で見ると、デンマークは約1.82010年が1.872011年が1.75)、日本は2013年で1.41である。

 

ちなみにデンマークも1983年に出生率が1.38にまで下がったことがあった。その後、出生率を上げるために国が様々な手を打った。要は、結婚したカップルが経済的な不安定さに怯えなくても良いようにすることである。1人で稼ぐよりも、2人で稼いだ方が生活は安定する。つまりダブルポケットであれば、一方が失業しても、再就職できるまでもう一方が生活を支えることができる。後は国として、女性が働きながら子供を育てられる環境を整えてやれば、それでOK。もう一つ、男どもは定時を過ぎたら、さっさと仕事場を離れ、家に帰りなさいということである。長時間労働は生産性が低いことの証でしかない。

 

そうそう最後に人口問題。世の中日本の人口が減少していることを騒いでいるが、これは本質ではない。2050年の日本の人口が1億人を切るの切らないという予測ばかりが目を引くが、私が生まれた1950年の人口は8300万人であった。本当に恐ろしい話は、1950年の年齢のメジアン(中央値)は22才であったが、2050年は55才という老人国家になることである。

 

 

 

 

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