国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退 (2019/1/5)

 

 

昨年末の26日、政府は日本がIWCから脱退することを発表した。これによって、日本は南氷洋での捕鯨は諦める代わりに、IWCに縛られない日本近海と経済水域内で自由に商業捕鯨を行うという選択をした。

 

この1226日という日にちには、それなりの理由がある。

 

環太平洋経済連携協定(TPP)や欧州連合(EU)との間で結ぶ経済連携協定(EPA)への影響を懸念したことにある。とりわけEUが日本とのEPAの承認を行う1220日までは、これを表に出すことができなかったのがその真相だったという(1227日付け朝日新聞)。

 

ま、そのとおりであろう。捕鯨が世界を敵に回して争うような政治課題とはとても思えない。

 

この発表に対して、肯定的な意見を述べる者は結構多い。

 

そこでは、やれ「鯨は日本の食文化である」だの、それ「捕鯨の歴史は中世にまで遡る」だのと、お馴染みの説明があがってくる。ちなみに、自民党の二階幹事長は、党の捕鯨議員連盟の集まりで、「我々は鯨を捕って生活することを糧としてやってきている」と発言したそうである。

 

このようになかなか勇ましい意見が日本では通っているようであるが、世界の目は相当厳しい。

 

ザ・エコノミスト誌の14日号でも、日本が捕鯨条約から脱退したことを記事として扱っている。世界的に見れば、日本のIWCからの脱退はトランプ大統領が地球温暖化防止条約から脱退したのと同じということである。「俺の言うことが通らないならば、国際協定から離脱する」という論理である。

 

ザ・エコノミストは、日本政府がこのような政治判断を下した背景を結構鋭く分析している。安倍首相は、捕鯨を国家主義の象徴のように考えている党内の保守派を懐柔する一つの策としてIWCからの脱退という切り札を出したと見ている。

 

外国人労働者の受入、そして北方四島を巡るロシアとの交渉で、保守派は大いに不満を募らせてきた。その不満を少しでも和らげるにはIWCからの脱退は役に立つというわけである。

 

もう一つ実利的な面もある。これまで南氷洋で行ってきた調査捕鯨には多額の税金を投じてきたが、IWCから脱退すれば南氷洋での捕鯨活動はできなくなる。つまり、そのような補助金を捕鯨に投じる必要はなくなる。国内だけで捕鯨を続けるならば、それはもはや零細な漁業(しかも一部の地域)にとどまるし、先行きは見えている。

 

日本人が年間に食べる鯨の量は一人あたり十数グラムにすぎず、とうの昔に日本の食卓からは消え去っている。

 

流通業界も同じである。今回、政府は国内での商業捕鯨の道を開いたが、かつて商業捕鯨を担っていたマルハニチロや日本水産は捕鯨を再開するつもりはないと明言している。スーパーのイオンも一部の店が鯨を扱っているが、全店で需要があると思っていないし、取り扱いを拡大するつもりもないと述べている。当然であろう。

 

 

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