調査捕鯨の中止判決 (2014/4/3)
3月31日にオランダの国際司法裁判所が南極海の調査捕鯨の中止を命じた。新聞は、まさかの完敗、クジラの街に不安といった見出しで記事を載せた。昨日は自民党の捕鯨議連のメンバーが判決はけしからんと言って、鯨肉カレーを食べて気勢を上げたというニュースも出ている。
この捕鯨問題、過去、数十年にわたって国際的に争われてきた。鯨肉は食文化である、牛肉を食べている西洋人に鯨肉を食べるなと言われる筋合いはない、などといった意見もあるが、もう結論は下ったと腹をくくった方が良かろう。少なくとも、政府が数十億円という補助金を捕鯨に投じ続けることに意義があるとは思えない。
今や鯨肉は一般家庭の食卓に上ることはまずない。日本人が鯨肉を重要なタンパク源としていたのは、1960年代で終わっている。鯨肉の国内消費量は、今や年間4000〜5000トン(推定)にすぎない。1人あたりに換算すれば、僅か30〜38グラムを食べているだけである。一方、牛肉の1人あたりの年間消費量は5.9キログラム、豚肉は11.8キログラム、鶏肉が12キログラムである(農林水産省食糧需給表,2012年度)。食料としての意味はほとんど消えてしまった。
おそらく、鯨肉の販路は専門の料理屋が大半なのだろう。愛好家にとっては寂しい話だろうが、捕鯨を維持するために多額の税金を投じることの理由は希薄となってしまった。前述の自民党捕鯨委員会では、日本は国際捕鯨委員会から脱退すべきといった勇ましい意見も出たようであるが、この手の感情論は国際的な日本の立場を貶めるだけである。世界のルールは日本のルールではないというのであれば、中国の振る舞いと何ら変わらない。