急回復する米国経済
(2021/7/3)
米国は新型コロナで最も大きな打撃を受けたが、速いペースで経済を回復しつつある。
国際通貨基金(IMF)は米国経済の回復について、2021年は近年で最も高い経済成長率を達成し、約7%になると予想する。さらにこの勢いは2022年も続き、約5%を達成すると見ている。
IMFによる予測は、現在バイデン政権が2021年中に立法化を目論む米国雇用計画(American Jobs Plan)と米国家族計画(American Families Plan)に基づくものである。両計画では、多年度に亘ってインフラ、研究開発、教育、育児、介護分野で多額の投資を行う。
ワシントンポストによれば、米国雇用計画では、公共インフラ関連で6210億ドル(約69兆円)、住宅インフラ関連には6500億ドル(72兆円)、福祉関連には4000億ドル(約44兆円)、製造・研究関連には5800億ドル(約64兆円)を投資する。
この巨額の投資には、中国への対抗がある。つまり、米国の経済基盤を強化し、経済を伸ばし、国力を高めることを狙う。勿論、そのためには、財源が必要である。政権は、法人税を21%から28%へ引き上げること、多国籍企業に対する最低税率を13%から21%に引き上げること、さらに租税回避への対策を明記する。
このような大胆な政策の提示は、まさに米国のダイナミズムを示す。
経済回復の兆しはすでに雇用統計に表れている。連邦政府労働省が昨日発表した6月の雇用統計では、非農業部門の就業者数が85万人増えた。これは市場予測の70万人を上回り、 前月の実績58万3000人を大きく越える。
ちなみに日本は、この6月の世界銀行の経済予測では2021年の成長率が2.9%にとどまり、米国の6.8%はおろか、欧州の4.2%にも及ばない。