英国のEU離脱、トランプ候補への支持、共通するものはグローバル化の負の側面。 (2016/6/24)

 

 

英国のEU離脱とトランプ候補への支持には大きな共通点がある。

 

経済合理性で言えば、英国がEUから離脱して手にする利益は恐らく小さく、EU5億人という巨大な市場から離脱することで失う損失は相当大きい。トランプ候補の主張も、理性からはおおよそかけ離れた、殆ど冗談のような発言である。が、どちらにも多くの支持層がいる。

 

地域統合、そしてグローバル化は、マクロで見れば確かに経済を成長させた。しかし負の側面として、その成長に与れない人が必ず出てくる。

 

英国では、EU統合により移民が流れ込み、既存の労働者の仕事を奪っていった。職を失った人達は、流入してきた移民達が自分たちの仕事を奪っただけでなく、国の福祉にまでたかっていると考えるようになった。そして米国では、グローバル化の中で製造業は海外に出て行き、とりわけ雇用効果の大きかったオールドインダストリー(その極めつけが鉄鋼業)は衰退した。そこで雇用されていた労働者は仕事を失い、増え続ける移民に嫌悪感を抱くようになった。

 

UEからの離脱やトランプを支持する多くの層は、エスタブリッシュメントとは対局に位置する比較的貧しく、また専門の能力を持たない単純労働にしかつけない人々である。また、年齢も高い人達が多い。そこにあるのは、昔は良かった、産業が海外移転しなければ、そして奴ら(移民達)さえ来なければ、俺たちが割を食うことはなかったという思いである。

 

英国のEU離脱は、事前の予測では、僅少差であってもEU残存派が何とか勝つのではないかと見られていた。しかし、午後2時半現在のBBCのリアルタイムの選挙速報を見ると、離脱派の方が34パーセンテージポイントと確実に差を付けてリードしており、このまま決まるのだろう。

 

いずれにせよ、グローバル化の流れの中で経済活動の国境をなくし、人の動きを自由にし、地域・地球規模で経済を成長させるという考え方はそれ自体正しいが、その裏には必ず取り残される人達がいる。その様な人達にとっては、地域統合、グローバル化など嬉しくも何ともない、疫病神でしかなかったということになる。

 

これは決して英米だけの問題ではない。日本でもそれが潜在的に起きている。非正規雇用問題、これは裏を返せば付加価値が相対的に低い単純労働の市場がなくなってきた結果である。典型的には製造業の海外移転である。また、反知性主義の動きも結構出てきている。その典型がヘイトスピーチである。ヘイトスピーチを支持する層はエスタブリッシュメントとは対局にある人が多い。彼らは、まさにトランプを支持する一部の層と重なる。

 

 

 

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