2020年大統領選 (2010/11/28)
来年、米国では大統領選挙が控える。共和党がトランプ(73歳)支持で一致するのは間違いなかろうが、一方、民主党はといえば、現在18名の候補者が出て混戦模様にあり、どうも決定的といえる人物がいない。
世論の支持率を見てみると、トランプの二選は厭だという人の割合が支持するという人の割合を11パーセンテージ・ポイント上回っており、彼を嫌う人は明らかに多い(The Economist, 27 Nov, 2019)。
だからといって、次の大統領は民主党候補からだとはいかない。
支持者の割合が非支持者の割合を超えているのはエリザベス・ウォーレン(70歳)だけであるが、それも僅差でしかない。
候補者の先頭を走るジョー・バイデン(77歳)と彼を追うバニー・サンダース(78歳)は、正味の支持者の割合が△5パーセンテージ・ポイントを越える(非支持層のパーセンテージが支持層のパーセンテージを5ポイント超えて上回る)。両者とも、非支持層が支持層を上回っている。
そんなわけで、民主党の各候補者はいずれも決定打に欠ける。新たに候補として名が上がった元ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ(77歳)は、正味の支持者の割合が△22パーセンテージ・ポイントである。これはトランプの△11パーセンテージ・ポイントを大きく上回って、非支持層の方が多いということになる。
民主党の弱いところは、エリザベス・ウォーレンを除けば他の先頭グループ二人の候補は70代後半で、二期目には80歳を超えてしまう。つまりお年寄りばかりである。
政策面でジョー・バイデンは中道派であるが、エリザベス・ウォーレンとバニー・サンダースは左に偏っている。
バニー・サンダースに至っては、自らを社会主義者と標榜する。一方、エリザベス・ウォーレンは裕福税の導入を提案している。これは金持ち優遇と揶揄されるトランプの政策に対するアンチテーゼであり、民主党支持者はこの考えに是と答えているが、ある意味大衆迎合的な政策である。
確かにエリザベス・ウォーレンやバニー・サンダースの政策について福祉厚生といった社会面から支持はあるが、半面、景気失速の懸念があることで経済面からは必ずしも支持されているわけではない。
来年の予備選挙の結果がどうなるのか未だ分からない。民主党に強力な候補が出せなければ、案外トランプの二期目があるのかもしれない。世の中の多数派はトランプの言動に憤慨しているが、経済面で取りあえず景気はよい。そして、トランプには一定の盤石な支持層がいることも事実である。