罷免が続くチーム・トランプの人事 (2018/3/31)

 

 

トランプ大統領の側近を巡っては、3月に入っても罷免や辞任が続いている。

 

政権人事では、国務長官をレックス・ティラソンからマイク・ポンペオに交代させ、国家安全保障担当の大統領補佐官を、HR・マクマスターから元国連大使のジョン・ボルトンに代えることを発表した。罷免された二人はトランプ大統領に異なる意見を持っていたことが最大の理由と見られている。

 

ティラソン氏は外交問題で大統領とたびたび衝突し、元陸軍中将のマクマスター氏はベトナム戦争を鋭く批判した。一方、新任の二人は明確なタカ派である。ポンペオ氏はイランに対する制裁緩和・解除に反対であり、北朝鮮の体制崩壊を望んでいる。ボルトン氏は極めつけのタカ派で、イランと北朝鮮を軍事攻撃するべきと言っている。

 

トランプ大統領は5月には北朝鮮の金総書記との会談を行うと発表しているが、外交面では相当強硬な立場をとるのであろう。安全保障と外交に携わる側近が折り紙付きのタカ派に変わったことで、米国が北朝鮮に対して核問題で厳しい条件を突きつけ、合意できなければ一気に軍事的な緊張が高まる可能性は高い。

 

中国を念頭に置いた貿易問題では、トランプ大統領は既に鉄鋼とアルミ製品の輸入制限(追加関税)を発動し、米通商法301条に基づき600億ドル及ぶ中国製品に対する追加関税を決めた。この鉄鋼とアルミの追加関税に反対していた国家経済会議委員長のゲーリー・コーンは、大統領令が出る前の36日に辞任した。

 

2016年の大統領選挙へのロシアの介入問題でトランプ米大統領の個人弁護団のトップを務めるジョン・ダウド氏が辞任した。ロシア疑惑では、トランプ大統領は特別検察官のロバート・ミュラーをクビにしたいが、大統領が直接罷免することは出来ない。ミュラー特別検察官を罷免できるのは司法副長官のロッド・ローゼンスタインであるが、彼はミュラー特別検察官の罷免を「理由がない」として否定している。となると、トランプ大統領は司法副長官をクビにする可能性はある。もっともそれをやれば、完全にニクソン政権時代のウォーターゲート事件の二の舞になることは間違いなかろう。

 

つい3日前には、トランプ大統領は退役軍人長官のデイビッド・シュルキンを解任し、大統領の担当医であるロニー・ジャクソン海軍少将を後任に指名した。シュルキン氏の解任は大統領との意見対立ではなく、職務怠慢(欧州訪問中に行った観光)と報じられている。

 

この後も罷免の噂が出ている。司法長官のジェフ・セッションズがその筆頭で、環境保護庁長官のスコット・プルーイット(ちなみに彼は、環境保護庁による地球温暖化ガスの排出規制を厳しく非難していた)がその後釜に座ると兼ねてから噂されている。

 

こんな訳で、いまだにトランプ政権の人事に纏わるもめ事は収まらない。自分と同じ意見を持つ者しか側近に置かず、他人から意見されることが嫌いな大統領に仕えるのは難儀なことである。

 

 

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