豊洲市場移転の先行き (2016/9/17)
ただでさえ遅れていた豊洲市場移転計画が、とんでもないスキャンダラスな問題に変わった。そもそも東京都と一部の都議、つまり少しでも早く豊洲移転を完了したい人達は、2020年に向けてのオリンピック競技場へのアクセス道路の建設が遅れることをあげて、移転慎重派と小池都知事を押さえ込みたかった様であるが、もはやそんな話ではなくなった。
朝日新聞の社説にあるように、これは「信じがたい背信行為」である。都は地下空間に溜まった水が安全であればそれで問題なしとして、移転を押し切りたいようであるが、そんな単純な話ではない。
マスコミの情報によれば、事の流れを見ると常にわけの分からないところで結論が変えられている。
専門家会議が土壌の入れ替えと盛り土が望ましいという基本方針を出した後、当時の石原都知事がコンクリートの箱を埋め込むことの可能性を述べた。これを受けて、都は技術的検討を加えたが、コストが上昇することを理由にこの案は棄却された。ところが設計段階に入って、またもや地下空間の利用が別の形で盛り込まれた。その一方で、公には地下空間は存在しないという話を押し通した。が、その嘘がここに来てバレてしまったという次第である。
この地下空間問題と並行して、3棟の主要施設の建設について談合疑惑が出ている。
建設工事の第1回入札が不調となった後、都はゼネコンから費用積算の聴取を行った。そして、再入札前に、都からゼネコンに対して予定価格を引き上げるので落札して欲しいという要請があったという証言である。三つの施設は綺麗にゼネコン三社で分け合い、それぞれに競争のない形で、しかも予定価格の99.8〜99.9%の金額で落札された。結果を見れば、どんなに談合を否定しようが、それを真に受ける人はなかろう。
地下空間のたまり水の安全性の検証だけで済む話ではない。誰がこのような変更を行ったのか、その責任を誰が負うべきかを明確にすることの方がもっと重要である。こんなことをやっていれば、幾ら豊洲は安全ですよと言っても、誰も信じない。