議員増やしても、バチ当たらぬ (2022/5/12)
細田博之衆院議長が自民党参議院の政治パーティーで発した言葉である。正確には「1人 あたり月給で手取り100万未満の議員を多少増やしてもバチは当たらない」 と言ったという。その心は、一票の格差を是正するため地方の定数を減らすのに否定的で、 議員定数を増やすべきだということらしい1/。
朝日新聞の記事によれば、「議長になっても毎月もらう歳費は100万円しかない。上場会社の社長は1億円は必ずもらう。普通の衆院議員は手取りで70万、60万くらい」と述べ、さらに「民主主義はできるだけ各党でたくさんの議員を出して盛んな議論をしてもらう方がいい」とも発言したという。
この話を聞いてため息を漏らした人は多かろう。
まず、国会議員の数。定数は衆議院が465人、参議院が248人。これだけの議員がいながら、国民の目からみて、どれだけの数の議員がまともに仕事をしているのだろうかという疑問が湧いてくる(少なくとも私には、沸々と湧いてくる)。選挙になると、与野党ともにどこかからタレントを担ぎ出し、その知名度を頼りに「にわか候補」に仕立てるのは今や日常茶飯事である。正直なところ、頭数稼ぎの陣笠議員が多すぎる。
細田さんは、上場企業の社長の報酬と衆議院議員の報酬を同格で比べているが、有象無象の議員が上場企業の社長ほどの仕事をしているとは誰も思うまい。1億円の報酬を手にする押しも押されもしない上場企業の社長と比較するならば、それは陣笠議員ではない。せいぜい首相くらいだ。
さらに問題は、国会議員の中に70歳、80歳代の老人が結構いることである。その多くは、もはや今の世の変化に全く付いて行けなくなっている。ICT2/が分からず、ましてやDX3/の本質がなんたるかすら理解できない。そんな老人に、日本の未来像が描けようはずがない。結局、彼らの仕事とは地元の利権誘導に邁進することだけである。
今最も必要なのは、議員数を半減して、少数精鋭にすることだと、私は思っている。人口の都市集中で過疎地の声が聞こえなくなっていることは事実である。それならば、米国のように衆議院は人口に比例して議員を選び、参議院は各県から2名を選んで地域の代表とすればよかろう。そして衆議院と参議院の権限を同じにする。今の参議院は単なる参議院の後追い承認機関でしかなく、その存在意義はもはや消滅している。
そうそう、細田さんも御年78歳。もう身を引いては如何でしょう。
1/ 朝日新聞(2022年5月12日)
2/ Information and communication technology
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