税の負担率 (2019/5/9)

 

 

日本では政府の財政赤字や今年秋から上がる消費税について、様々な議論が見られる。

 

「この夏に行われる参議院選挙が衆参同時選挙になるのではないか」、「そこで消費税増税の是非を問うのではないか」、はたまた「安倍首相はまたもや増税を先送りにするのではないか」といった巷の噂が囁かれる。

 

野党はといえば、「増税には絶対反対」、「税収不足は金持ちから取れば良い」、「庶民は給与も上がらない中で生活が汲々としている」と、そんな調子である。

 

国の借金がGDPの倍を超えているのは事実であるが、その一方で、国民は政府にあれをせい、これをせいと要求する。金がないのは、政府の無駄遣いがあるからだという声もお馴染みである。

 

しかし、冷静に考えれば、日本人はそれほど税金を払っていない。政府が金の出る打ち出の小槌を持っているわけではないし、金のなる木があるわけでもない。国民が使う金の出所は、国民が支払う税金である。年金や保険も同じである。

 

つい最近、経済協力開発機構(OEDC)が加盟国の税負担率の比較を出した。この負担率の算定には、所得税だけでなく支払った保険料も含まれる。その結果はといえば、図に示されるように、加盟36カ国中26位であり、下位グループに属する。

 

税負担は独身か家族持ちか、はたまた何人の子供がいるのかよって異なるが、欧州諸国に比べれば負担率は相当低い。

 

一番税負担が大きいのがベルギーであり、二番目はドイツである。独身と二人の子持ち家族の平均で見れば、ともに負担率は40%を越える。一方、日本は30%くらいである。EU諸国の付加価値税(日本でいえば消費税に相当)が20%前後であることを考えれば、ベルギーに住めば給与所得の60%を税金として支払う事になる。

 

税を払うことが好きという人はまずいないだろうが、政府からのサービスを受けたいならば、それに見合った納税という形での負担が発生する。財政の破綻を心配するならば、それに見合った増税は必要である。そんなものは金持ちに払わせれば良いなどと言うのは、現実を見ない戯れ事でしかない。

 

 

 

 

 

 

 

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