テレビ討論会――トランプ対ハリス (2024/9/12)
昨日のABC主催のテレビ討論会はなかなか面白かった。ABC放送は見られないがCNNのウェブで抜粋版が見られるので、討論の成り行きを楽しませてもらった。また、CNNは両者の発言内容の真偽1/も直ぐにウェブに掲載するので、これは助かる。
結論から言えば、カマラ・ハリスの勝利であった。CNNは世論調査によればハリス勝利が63%、トランプ勝利が37%と伝えたが、回答が少々ハリスに偏りすぎているという気もする。とは言え、私の目にもトランプは応戦の立場で、興奮しすぎて話が逸れたり、彼特有の嘘をまき散らしたりと映った。この点で、ハリス勝利は同意する。
CNNのウェブニュースではこの論争に挟んでいろいろなコメントが加えられた。その中で、CNNはハリスが1回、トランプが33回の間違い(偽り)を言ったと報道した。
トランプの極めつきの嘘は、オハイオ州のスプリングフィールドで違法移民が住民の犬やネコを捕まえて食べたという発言である。これに対して、司会者が「市当局と警察はそのような苦情は確認されていないと述べている」と即座に割って入ったが、それでもトランプはこの話を直接聞いたことがあると言い訳した。これは恥の上塗りにしかならなかった。
トランプの嘘は枚挙にいとまがない。
l トランプが課した中国への輸入関税のお陰で、米国は中国から数十億ドルを手にした【嘘】。これは中国が支払ったのではなく、製品の輸入業者、つまり米国の企業が関税を支払い、それを消費者に転嫁した。
l バイデン政権下でこれまでにない最高のインフレに見舞われた【嘘】。2022年6月の消費者物価指数(CPI)は9.1%上昇であった。しかし、1981年は約15%、1917年は約18%であった。
l ハリスはプーチンがウクライナ侵攻を始める前に彼と会った【嘘】。ハリスはこれまでにプーチンと会ったことはない。
l 米国の犯罪は天井を突き破った【嘘】。FBIの2023年データでは、殺人は13%,暴力事件は7%低下した。
l その他、バイデンが中国やウクライナから金を受け取った、幾つかの州は赤子が生まれた後の中絶を認めている、等々の嘘。
これはハリスが巧みに餌針を仕掛け、それにトランプが食いついた結果起きた放言である。トランプは興奮すると、ある事ない事、いやない事ない事をわめき立てる。何やらハリスの罠にはまってしまったようであった。
さて、今回の討論会で一番見事な一言を放ったのは、テイラー・スウィフト3/だろう。この討論会の直後、彼女はインストグラムでカマラ・ハリスを支持することを表明し、ネコの写真とともに“Taylor Swift, Childless Cat Lady” とメッセージを残した。これはトランプの伴走者(副大統領候補)バンスの「こんな人々(子なしのネコ好き女)がアメリカを動かしている4/」という言葉への強烈な皮肉である。おそらく彼女は今回の討論会を待ちに待って、このパンチを浴びせたに違いない。
1/
Fact-check
2/
Consumer
Price Index
3/
テイラー・スウィフトは2020年の選挙で民主党を支持したが、今回の選挙では何の意思表示もしてこなかった。一方、トランプは彼女が自分を支持してくれるものと大いに期待していた。8月末には、彼女があたかもトランプを支持しているかのような偽画像(アンクルサムが指さしして、君が必要だというお決まりのポスター)を流し、これに"I accept!"と書いた。
4/
America
is run by such people.