大学受験資格にTOEFL義務付け?? (2013/4/17)
自民党の教育再生実行本部が大学入試改革の目玉の一つとして、安倍首相に対して、大学受験資格としてTOEFLの導入を提言したという新聞記事(朝日新聞4月8日)が出ていたが、ちょっと話が飛躍し過ぎているのではと思うのは、私だけだろうか。役に立たない今の日本の受験英語教育では、日本は世界から孤立し、沈没してしまうという危機意識がこの提言の背景であると言う。ま、その危機意識には同感するが、大学受験にTOEFLというのには、相当無理があるだろう。
世間では、英語能力を図る指標としてTOEFLとTOEICの二つがよく使われる(かつては、文部省公認を謳った英検などというものがあったが、これは余りにも日本的なテストで、今やTOEFLやTOEICに押されて、影が薄くなってしまった。何やら中国政府公認の日本語検定試験のような代物であった)。
さて、そのうちTOEFLは、米国の大学や大学院が留学生を受け入れるために、受験希望者の英語能力の評価に使うものである。試験内容は相当高度で、一般高校生が受験するにはかなり難しい。日本の大学なんぞ見限って、米国で勉強しようという気概のある学生ならいざ知らず、普通の高校生には手に得ないと考えた方がよい。試験を受けたのはよいが、結果は数十点程度の成績(満点は120点)しか取れなかったという話になれば、受けた学生もへこんでしまう。
同じ英語試験であれば、高校生にはTOEICの方が向いているだろう。これは企業が英語の能力の目安を知るためによく使うテストであり、内容は決して高度なものではない。日常生活の場面で使う英語が基本となっている(が、結構引っかけ問題があって、気をつけないと足をすくわれる)。普通の高校生であれば、それほど英会話に接する機会があるわけでもないので、高校の英語教育をベースにして、実践英語としてTOEICを勉強するのは悪い話ではない。
さてさて、この提言を出した自民党の面々がどの程度の英語を使えるのかは知らないが、思いつきの提言より、地に足の付いた話をした方が余程マシでしょう。日本の政治家も、国際化を目指してTOEICの試験を受けて頂き、それを公表してもらってはどうだろうか。