投資ファンドによる東芝の買収提案 (2021/4/7)

 

 

今朝、英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズが東芝に対して買収提案(TOB)したというニュースが入った。

 

東芝のような巨大な企業に対するTOBなのでちょっと驚いたが、この5年間の東芝経営の混乱を振り返れば、それもあり得る話だと思った次第である。

 

2015年の不正会計事件に端を発し、米原発子会社スチングハウスの巨額の赤字、債務超過による東証第一部から第二部への降格、半導体メモリー事業部の売却と、経営の難題が続いた。そして、今年1月に東証第一部に復帰したと思いきや、この3月には物言う株主である投資バンドエフィッシモが臨時総会の開催を求め、提案が可決された。

 

正直なところ、東芝の経営を抜本的に改革するには、経営を投資ファンドに渡すのもありかなとも思う。日本の技術を海外に売り渡すな、ハゲタカファンドに売り渡すな、と言う声も出そうであるが、それは偏狭なナショナリズムにすぎない。

 

一度破綻した日本の企業が、海外の資金で再生した事例は結構ある。

 

バブル時代に破綻した日本長期信用銀行は米国の企業再生ファンドのグループが買収し、新生銀行として立派に再生した。

 

経営破綻したシャープも台湾の鴻海が買収して、立派に立て直した。破綻した当時、政府では日本の企業に拘って同じ液晶パネルメーカーであるジャパンディスプレイ(JDI)に買収させようとする動きがあったが、今やそのJDI自体の経営が危うくなっている(きっと、シャープもJDIも共倒れになっていただろう)。

 

政府の事業再生法を使って再生を試み、失敗したのが半導体事業のエルピーダであった。結局、米マイクロンが買収し、立て直すに至った。そもそも、エルピーダが1980年代後半には世界市場を席巻したかに見えたNECの半導体部門であったが、今や日本の半導体メーカーで世界のトップ10に入る企業はない。

 

世界で通用する企業にならんとするならば、もはや日本的な発想や人的資源だけでは対応できない。使い古された言葉ではあるが、それがグローバル化、つまり地球規模で通用する経営を確立するということである。

 

 

 

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