ソチ・オリンピック――森元首相の失言騒動 (2014/2/23)
今回のオリンピックで、一番話題となったのは、スキーのジャンプと女子のフィギア−スケートだったのだろうか。期待の浅田選手はメダルには届かなかったのもの、フリー演技では自己最高得点を出し、感動的な結果を出した。
さてさて、選手の活躍とは裏腹に、いろいろなところでつまらぬ発言が飛び出し、これまたウェブを賑わしてくれた。森元首相もその一人であった。第一報のウェブニュースが「あの子、大事なときには必ず転ぶんですよね」という彼の発言だけを特出しにしたのは不運であったが、やはりこの方、首相時代にも失言を繰り返していたことを思い出させる。うちのカミさんなどは、このニュースがウェブに載った途端、「このクソ爺、何を言うか」と憤っていた。大概の人の思いは同じだったのだろう。
彼の講演時の発言を詳細に読んでみると、真意は元々勝算のない団体戦に無理に出させたことで、個人戦でのコンディションを悪くしてしまった、つまり団体戦に出させるべきではなかった、ということのようである。しかし、浅田選手がフリー演技を明日に控えるという段階で、この思慮を欠いた発言をするのは、オリンピック組織委員会会長としてはお粗末すぎた。ま、このあたりの話は、マスコミも含めて相当叩かれているので、これ以上なじるのはここでは止めておきましょう。
とんだ失言騒動ではあったが、彼の話の中には、いいことも言うじゃないか、という部分もあった。スノーボードで銀メダルを取った竹内選手を採り上げて、「日本の中で規律と規制とかなんとかに囲まれた中でやってたという感じはなくて、あの子は自分で勝手にカナダかスイスかどっかに出かけて行って、向こうの人たちの中に入って練習して、あそこへ伸ばした」、「そういうのがふぁっと出てきて、すっと優勝さらっていってしまう」、「どうも日本の各競技団体のやり方が本当に正しいのかどうか。もっと自由奔放にやらせたほうがいいのかなという感じもいたします」と述べている。
日本のスポーツ界もだいぶ考え方が変わってきているのであろうが、まだ、「組織だ」、「規律だ」、「根性だ」、挙げ句の果てが「メダルを噛むな」、「日本の代表として恥ずかしくないように」などと下らぬ小言を抜かす輩はまだ多い。半面、いまさら途上国や社会主義国でもあるまいし、選手はもっと自由に自分の道を究めれば良いと考える方も相当多いと思う。そもそもオリンピックの栄誉は個人または団体に対して与えられるものであり、国に対して与えられるものではない。
もし、森さんが今回のオリンピックでそれを感じたのならば、その点は○(マル)です。