『師匠はつらいよ——藤井聡太のいる日常』 杉本昌隆 20236月 文芸春秋

 

 

副題にあるように、藤井聡太九段(八冠)の師匠、杉本昌隆八段が週間文春に連載したエッセイを本に纏めたものである。

 

藤井聡太が杉本昌隆に初めて出会ったのは、未だ小学1年生の時であった。その後杉本の門下生となり、あれよあれよという間に師匠を追い越してしまった。今や藤井聡太は、羽生善治の記録を書き換えんとする天才棋士と言ってよいだろう。

 

そんなとんでもない出来の弟子を持った杉本師匠が棋士の日常を書き綴る。当然、話題の中心には藤井聡太が絡んでくるが、私のように、せいぜい将棋のコマの並べ方位しか知らない素人が知るよしもない棋士の世界について、いろいろ面白い話が出て来る。

 

棋士とその一門の生活、そしてそこにある様々な小話が書き連ねられる。

 

例えば、AIがプロ棋士に勝ったのはもう随分昔のこと、今ではプロ棋士は普通にAIを活用する。藤井聡太は若いだけに、AIに向いたPCを自分で組み立て、杉本師匠にどんなPCを買ったら良いか助言したそうだ。

 

一方、たわいの無い話で言えば、棋士は勝負師、それなりに拘りがある。例えば勝負飯。そんなあれやこれや盛りだくさんのお話しが繋がる。

 

文章は歯切れ良く、読んでいてなかなか楽しい。

 

 

 

説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: door「ホームページ」に戻る。