『サラ金の歴史——消費者金融と日本社会』 小島庸平 20216月 中央公論新社

 

 

サラリーマン金融(サラ金)という言葉が身近で聞かれるようになったのは、1970年に入ってからだろうか。私が未だ大学を出て会社に入ったばかりの頃、どのような折だったかすら覚えていないが、部長が部員に対して「皆、サラ金から金を借りるようなことは、してないだろうな」という趣旨の発言があったことを覚えている。

 

その当時、サラ金と言えば高利貸し、一度金を借りたら利息の支払で雁字搦めにされ、それが元で会社を辞めざるを得なくなった者もいるといった、暗いイメージが付きまとっていた。

 

やがてサラ金はそのイメージを払拭するかのように、テレビでは繰り返しコマーシャルを流し、電車には洒落た広告を並べるようになった。町では、あちらこちらでサラ金の社員が通行人にポケットティッシュを配り、それを貰ってさえいれば、ポケットティッシュに不自由することなどなかった。

 

その一方で、借りたは良いが、多重債務に陥り、自己破産、家庭崩壊、さらには自殺にまで追い込まれるという、深刻な社会問題が起きた。一般に、サラ金とはそのような暗い部分で語られることが多かった。

 

しかし、金融という面で見れば、与信のない個人が金を借りるとなればサラ金しかなかった時代でもあった。そんな個人を相手に、サラ金は貸倒れリスクを評価し、また独自に貸付資金を調達する道を開拓することで、銀行ではなしえなかった彼ら独自の金融システムを作り上げていった。

 

社会問題を引き起こした点で問題は多々あるが、金融システムの構築という点で、サラ金は金融業界でそれなりの地歩を築いたことも事実である。

 

サラ金は、戦前からあった個人間金融に始まり、やがて独自の金融システムを開発し、ついには事業が破綻することで、今では都市銀行系列の個人向け金融機関として存在する。そんなサラ金の歴史と、その時々の社会背景を知るには良い本である。

 

 

 

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