ロシアのオリンピック出場禁止 (2017/12/7)
兼ねてから疑惑のあったロシア選手の薬物使用について、国際オリンピック委員会(IOC)は、昨日、来年のピョンチャン冬季オリンピックへのロシア国家チームの出場を禁止すると発表した。しかし、これで薬物問題がなくなるとはとても思えない。IOCがロシアの国家ぐるみの薬物疑惑について処分を下すのに、余りにも時間がかかりすぎた。
ちなみに、このIOCの処分に対して、ロアシア外務省のスポークスマンは今回のオリンピックへの出場禁止は根拠のない言いがかりであり、ロシアを孤立させるための対応であると述べている(一方、プーチン大統領はドーピング問題を認めたが、国家ぐるみではないと述べたとも伝えられている)。
ロシアの薬物問題は相当根が深く、長期にわたって行われていた。
ロシア反ドーピング機関の職員であったビタリー・ステパノフ(中距離走者ユリア・ステパノフの夫)からの内部告発で、世界反ドーピング機関(WADA)がロシア選手が政府の了承の下に薬物を使用していたことを知ったのは、もう7年以上も前である。
しかし、ステパノフ夫婦の告発は4年もの間見逃されていた。ドイツのジャーナリスト、ハジョ・セッペルトがその真相を調べ、ドイツ公共放送連盟(ARD)が2014年の12月にドーピング疑惑のドキュメンタリーを報告したことで、ロシアのドーピング問題が始めて表沙汰になった。
その後、WADAは4回にわたって報告書を提出した。2016年の4回目の最終報告書では、ロシアの薬物使用は2011年から2015年の間だけでも少なくとも30競技の1000人以上の選手が係わったと述べている。
これだけ組織的かつ大規模な薬物使用が世間の目にさらされたのは初めてのことである。
薬物の使用はますます巧妙になっている。それが国家ぐるみで行われるとなれば、年間予算が僅か3000万ドル(34億円)しかないWADAが、ますます巧妙になる薬物使用を検証していくのはそう簡単ではない。となれば、一回のオリンピック追放ではなく、永久追放にでもしない限り、薬物問題を無くすことは簡単ではない。