埼玉県、「留守番禁止」条例案のお粗末 (2023/10/14)
新聞やその他のマスメディアでも叩かれ、全国的に有名になった事件である。
埼玉県の自民党県議団が提出した子供の放置を禁止するという条例案、小学校3年以下の子供を放置する事を禁止することがその趣旨である。では具体的にどのようなケースが放置になるのだろう。短時間の留守番は勿論、子供だけで登校させたり、外遊びさせたりすれば違反行為になる。例えゴミ捨てのために、子供をちょっと部屋に残して家を離れても条例違反である。
事の起こりは、自民党県議団の誰かが、こんな条例を作れば、党本部に対して実績がアピールできると考え、残りの県議が後先考えずにそれに乗ったのが実体らしい。条例の中身はさて置いて、とりあえず数さえ稼げば「自民党県議団の存在感が高まる」と考えたと見える。朝日新聞の記事によれば、自民県議団は、2010年から毎年のように条例案の単独提案を続け、 8割超にのぼる35件を成立させたという*/。
この条例案は米国の事例を真似したのだろう。議員団に、米国でなぜそのような条例ができたのかという社会背景や環境を調べた様子はない。確かに米国では小さな子供を外で一人遊びさせる事はまず無い。それは、犯罪発生率が日本と比較できないほど高いというセキュリティ上の問題を抱えることにある。私の経験で言えば、親から離れて子供が一人でいたら、警察に通報されても不思議はない。
今回の出来事、私の目には議員の質そのものに問題があると映る。議員であれば、条例案を出す前に、事の背景を調べ、条例案が抱える問題点や課題を詰めておくのが当たり前、かつ本来の姿である。ろくに勉強もせず、思いつきで条例案を作っているようでは、政治家としての価値はまったく無い。
幸い、子供を持つ県民から条例案に対して多くの反対意見が寄せられ、条例案の決議を撤回に持ち込むことができた。有権者は、今回の出来事に懲りたのならば、次の選挙で議員の資質をよく考えて投票しないと、またこのような厄災が降ってくる。百害あって一利なし、ろくでもない議員はさっさと切り捨てよう。
*/ 朝日新聞デジタル(2023/10/13 17:00)