今やオリンピック開催は考え直す時期にある (2021/2/20)

 

 

冬季オリンピック北京大会は今日で終わる。

 

努力してきた日本選手の中には、メダルを手にした者もいれば、期待に反して取れなかった者もいる。それでも、日本選手が過去最高のメダル数を獲得した事は嬉しいニュースであった。とりわけ嬉しいことは、今の選手には国の威信を背負って出場するという悲壮感がない。一方、彼らには己の能力を信じて世界一に挑戦するのだ、高みを目指す個人の挑戦なのだという世界観がある。

 

半面、オリンピックの開催そのものには、大きな疑問を持たざるを得なくなっている。

 

オリンピック憲章の第1章にはこんな言葉が書かれている—“The goal of the Olympic Movement is to contribute to building a peaceful and better world by educating youth through sport practiced in accordance with Olympism and its values.” このように「平和でより良い世界の構築に貢献」を謳っているが、その実態はいみじくも昨年夏の東京大会、今年の北京大会で露見したように、商業主義、不透明な会計、そして開催国によるオリンピックの政治利用である。そのような問題に対して、国際オリンピック委員会(IOC)は正面から答えようとはせず、誤魔化すか、質問をはぐらかすだけである。

 

コロナ禍で、東京と北京での開催はいろいろと問題があったが、IOCは何が何でも開催へと突き進んだ。そこには、唯一、金への執着しかない。

 

テレビ放映権収入だけでも、2032年までの夏冬6大会分で765000万ドル1/$1=¥115で換算すれば約8800億円)に及ぶ。さらにIOCの収入は放映権だけではない2/。スポンサー収入や権利収入がある。オリンピックとは、まさに巨大な利権ビジネスである。これこそ、ワシントンポスト紙がバッハ会長をぼったくり男爵(Baron Von Ripper-off)と揶揄したゆえんである。

 

オリンピックは政治的発言を禁止する。これも笑止千万、茶番に過ぎない。

 

ロシアは国ぐるみのドーピング問題で、国としての出場が禁止されたはずであるが、どっこいロシアオリンピック委員会(ROC)として選手が出ている。ROCはロシアであることと何ら違いはなく、これは詭弁でしかない。プーチン大統領にとってロシア選手が金メダルを取ることは、どんな経済的価値にも勝る。オリンピックとは最高の国威高揚の場である。

 

プーチンはオリンピック開催に際して国賓待遇で北京を訪れ、習近平主席と首脳会談を開き、ウクライナと台湾問題で相互の支持と連帯を表明した。開催国である中国は、最大限にオリンピックブランドを政治利用した。習近平にとって数兆円の出費3/など共産党と己の喧伝に繋がれば安いものである。

 

今のままでオリンピックを進めていけば、開催地は多額の費用が負担できる経済大国しか対象とならない。あるいは身の丈に合わなくとも、強引に誘致したいと思う強権国家や独裁国家が手を上げるくらいだろう。

 

 

1/     朝日新聞(2021.5.10

2/     IOC2013年から2016年までのソチ冬季五輪、リオ夏季五輪などの活動による収益が57億ドルだったと公表した。その内訳の73%を放映権料が占めている。

3/     中国政府は公式には39億ドル(約4490億円)と発表しているが、道路や鉄道といったオリンピックのためのインフラの整備、人件費などの表に出ていない費用を含めれば、数倍、それどころか10倍に上るだろうと言われている。

 

 

 

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