中韓露、近隣国との外交 (2014/8/30)

 

 

今の安倍政権にとって、日中、日韓、そして北方領土問題を抱えた日露外交は頭の痛いところであろう。とりわけ中国と韓国との関係は、両国のトップ会談が一度も行われないまま18ヵ月が過ぎてしまった。ではロシアとはと言えば、これは安倍首相の責任ではないが、ウクライナ問題で日露の関係が微妙になってしまった。

 

中国、韓国との問題は、言わずと知れた尖閣、竹島問題、そして韓国については慰安婦問題がこれに加わる。いずれも国民感情論になってしまい、なかなか解決の糸口が見えないが、日本にとっての経済、国防といった大所高所から見れば、今後もいがみ合ったままで済むわけはない。

 

とりわけ中国は確かに問題の多い国である。が、今や日本の2倍のGDPを稼ぐ経済大国であり、軍事的にも政治的にも米国と並ぶ力を持っている。日本人は投資の軸足を中国一辺倒からASEANやインドに変えればよい、一方、中国はシャドーバンキング問題、GDP成長率の鈍化といった経済的な不測要因を抱えるなか、これまでのような経済成長が続くはずもないと思っている人も多い。中には、中国経済のバブル崩壊を期待する向きもある。

 

しかし、もし中国経済がつまずけば、日本経済、世界経済がどうなるか今更言うまでもない。ギリシア程度の経済規模の国が問題を起こしただけで、EUはおろか、世界経済までが大きな影響を被っている。中国が経済危機に直面すれば、日本も相当の痛手を被ることになる。

 

日本から見れば、習近平国家主席、朴槿恵大統領、そしてウラジミル・プーチン大統領のいずれも余りにも頑なと思えるが、それが彼らの本音とは思えない。外交問題と内政問題は裏腹の関係にある。3国共に、日本の常識から言えば成熟した民主主義が根付いた国ではない。習主席、朴大統領、そしてプーチン大統領が完全に内政を掌握できているわけではない。

 

習主席は、未だに江沢民の流れを汲む政治勢力を完全に排除できていない。国内の世論が尖閣問題で日本に譲歩したと騒ぎ出せば、政治基盤は危うくなる。朴大統領はフェリーの沈没事故以来、支持率は下降してきた。そしてプーチン大統領にしても、ウクライナの内部抗争にこれ以上巻きこまれたいと思っているわけではなかろう。3国共に、一番の問題は国内の世論と自らへの支持にある。

 

しかし、習主席とプーチン大統領も対日外交をこのままにしてよいとは思っていない。そのシグナルが出てきている。福田元首相は7月下旬に習主席と会っており、「現状打開の気持ちがあるので私と会ったのではないか」と述べている。一方、ウクライナ情勢を巡って日本政府が対ロシア制裁に踏み切ったのに対抗して、ロシアは北方領土で軍事演習を行い、かつ日本に対する対抗制裁措置を発表するなか、ラブロフ外相がウクライナ問題とプーチン大統領の訪日とは関連づけていないと述べた。韓国も、朴大統領の口からは出ていないが、823日に着任した柳興洙・新駐日大使は、日韓関係が冷え込んでいることについて「このような異常な関係が続くのはだめだと確信している」と発言している。

 

このシグナルを受けて安倍首相はどう動くのか期待したい。繰り返すが、今のままで日中、日韓、日露関係がよいわけではない。

 

 

 

 

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