プーチンの大統領5 (2024/3/22)

 

 

今週日曜日の17日に開票されたロシア大統領選挙の結果は驚くには当たらない。プーチンの目論見通り、87%という圧倒的な支持率で5選を果たした。もちろんこの数字は恣意的なものであり、そもそも選挙と呼べるものではなかった。

 

プーチンの政治とは暴力と抑圧であるが、とりあえず今回の選挙で国民の圧倒的な支持を得たという形は整えた。では、これからのロシアはどうなるのだろうか?

 

プーチンは今回の選挙結果をもって、ロシアを更なる軍事国家にする腹を決めた。膠着状態のウクライナ戦争への更なる軍事力の投入、とりわけ国内で抵抗があった徴兵にも踏み切るのだろう。西側がプーチンを押し止めるために出来ることは極めて限られる。対ロシア戦略があるとすれば、それはウクライナに対する軍事援助とロシアに対する制裁に絞るしかない。

 

軍事支援とは武器と弾薬の提供であり、とりわけ欧州の防衛予算の強化が必要になる。絶対的な軍事支援規模では圧倒的に米国に依存するが、現状を見れば約600億ドルのウクライナへの支援を含む今年度の緊急予算案は共和党の反対で下院で止まったままである1/。政府は312日に米軍の在庫から約3億ドル分の弾薬を提供すると発表したが、金額で分かるようにこれは僅かな繋ぎでしかない。

 

他にできることがあるとすれば、ロシア国民に真実を伝え続けることだろう。建て前上、国内はプーチンへの強い支持となっているが、国民は例え嫌でもそうせざるを得ないのが現実である。どの程度ロシア国内で厭戦気分がはびこっているのか実のところ良くは分からない。しかし、今回の大統領選挙で、在外投票ではそれほど支持は得られていない。プーチンの得票率は、ロンドンで21.05%、東京で44.1%、ローマで61.73%であったとの報道がある2/

 

ウクライナ戦争は、二十世紀前半に欧州と東アジアで全体主義国家が引き起こした戦争と同じである。第二次大戦の終結、そして1991年のソ連の崩壊で民主主義が世界で勝利したかに見えたが、それは全くの幻想であった。一世紀を隔てても、覇権主義(全体主義)国家と民主主義国家のと間の争いという点で、ほとんど進歩がないかのようである。

 

 

 

            1/ 上院は214日に予算案を可決した。

            2/ NHKウェブニュース(2024.3.20) https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240320/k10014396911000.html

 

 

 

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