初めてのパキスタン (2019/2/23)

 

 

南アジアでの仕事の経験はそこそこあるが、パキスタンは今回が初めてである。

 

ムガール帝国にまで遡ればインドとパキスタンは同じ国であったので、宗教の違いを除けば両国の文化はそれほど違わないと思う。

 

 

しかし治安という面で、インドとは少々事情が異なる。

 

日本人の身としては、少々緊張させられることがある。今回の滞在はラホールだけで、カラチに比べればそれほど危険な場所ではないが、それでも街中の移動は小銃を持った護衛付きになる。政治的に不安定であると、どうしてもテロや争乱が起きやすくなる。そして社会が混乱し、貧富の差が大きいと犯罪が増加する。

 

仕事で接した限りではあるが、パキスタン人は親切で人なつっこい。もっとも、彼らが一方的に喋りまくってくるのに付き合っていると、少々くたびれる。このあたりはインドと余り変わらない(日本人が少々寡黙すぎるのかも知れないが)。

 

貧富の差が為せる技であろうか、ホテルのサービスではイライラさせられる事もある。

 

下働きをしている人達に、日本的な「一生懸命さ」を期待することは難しい。朝食でウェイターにコーヒ-を頼んでも、出てこない。忙しいからかと思いきや、返事をして直ぐに注文を忘れて、どこかに行ってしまった。彼らの給与水準を考えれば、仕事への忠誠を期待するのは無理な話かも知れない。

 

部屋の清掃係の中にも、したたかな御仁がいる。

 

チップに1ドルを差し出したら、「これでは少ない」、「ラホールは物価が高いのでもっとよこせ」と曰わく。

 

こちらも、少々腹に据えかねて、「わかった、今マネジャーを呼ぶからそこで待っておれ」と言った途端、「申し訳なかった。許してくれ」と言い出した。結局、マネジャーに事情を話したところ、当人を連れて詫びに来た。人のよい日本人客が結構いるので、せびれば気前よくチップを払ってくれることに味を占めたのだろう。

 

といっても、この清掃係、悪い奴では無さそうである。給与が安いのでチップが欲しかったが、少々図に乗りすぎた。次に部屋に来た時には相当バツの悪そうな顔をするので、チップを渡そうとするが、今度は受け取りを固辞する。「ホテルの恥になるから、もう二度とあんな真似はするな」と言って3ドルほどを掴ませたら、「私は日本人も、中国人も、インド人も、バングラデシュ人も皆大好きだ」と曰った。

 

それ以降、この掃除係、大変良くサービスしてくれるようになった。

 

こんなやり取りは海外ならの話ではあるが、日本の「おもてなし」とは違う世界である。

 

 

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