TPP反対の裏にあるもの (2011/11/7)

 

 

民主党内は未だに結論が出ないまま、TPP交渉参加に向けて残された日にちは、あと僅かとなった。一方、反対派は、デモで圧力をかけている。

 

反対派の主張は、「食の安全を守れ」、「市場開放をすれば農業は崩壊する」という、もう聞き飽きた言葉を繰り返すだけである。これに対して、推進派は、一部の農産物に掛かるばかげた関税率をあげ、農業ロビーを非難する(典型的な例が、こんにゃくの1706%、米の778%、小豆の403%、バターの360%という、これまたお馴染みの関税率である)。

 

農水省はカロリーベースの自給率が低下し続けていることを問題と言うが、当たり前である。米の減反を進め、転作を奨励してきたのは、その張本人、農水省である。農家が米から野菜・果実、花卉類へと付加価値の高いものに転作すれば、カロリーベースの生産が下がるのは、これまた当たり前の話である。

 

もはやこれ以上、個別の数字や「食を守れ」と言う概念論に固執しても、出口は見えてこない。このまま、今の体制を維持し続ける限り、農業が自立できないのは誰にでも分かりきったことである。もはや、農業従事者の平均年齢は65才を超え、農家の大半は兼業農家である。これでは、所得補償を各農家にばらまこうが、価格の数倍というばかげた関税をかけようが、農業が強くなるはずはない。それどころか、農業が自滅するのは、もはや時間の問題でしかない。

 

そもそも、このようになったのは、農水省、全農、農協、農林中金といった団体、そして族議員が自らの利権と既得権益を守ることだけに汲々とし、まともな農業政策を実行してこなかったことに帰結する。本当に農業を強くしようとする篤農家は、全く阻害されたままであった。

 

ここに来て、野田首相が本部長となる「食と農林漁業の再生推進本部」が基本方針を発表し、農地の規模拡大、農協・農業委員会の改革、農家の成長を支援、個別所得補償の見直し、を打ち出した。が、今更ながらである。農業の規模拡大では、今後5年間で農家一戸あたりの農地を今の10倍に拡大すると大見得を切ったが、これをまともに受け止める人はいるまい。そもそも、ここで示した基本方針は、過去、50年間にわたって指摘され続けてきた問題を再掲したに過ぎない。追い詰められたあげくに、出てきた政策方針がこの内容である。

 

本当に自立できる農業を達成するには、何の役にも立たない保護政策を止め、真に農業を担える者に絞った支援に切り替えることしかない(これもあちらこちらで言われ続けてきたことであるが、既得権者の声に押され、実行されてこなかった)。ダメと分かっている部分は切り捨てるしかない。痛みを伴わない改革は絶対にあり得ない。皮肉ではあるが、TPPへの参加は口に苦い良薬になるだろう。あるいはショック療法といった方が分かりやすいのだろうか。

 

 

 

 

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