膨れあがる五輪費用 (2016/9/30)

 

 

毎度お馴染みの「小さく産んで、大きく育てる」。もちろん、関係者は誰も責任を取らない。最終的な赤字は、納税者が負担すれば良いというわけである。

 

今更、驚くような内容ではない。大騒ぎになった新国立競技場の建設費は、当初のザハ・ハディド案で1300億円也の予算が2520億円に膨れあがった。さすがにこれには非難の声が上がり、再選考となった結果、隈研吾氏の設計案が採用された。その建設費は約1490億円という(朝日新聞2016629日)。ただし、それに加えて、ザハ氏だけでなく、設計会社と技術協力したゼネコンに対する違約金が掛かってくる。違約金の詳細は分からないが、ザハ事務所に対するものだけで66億円と伝えられた。

 

さて、929日に都政改革本部の調査チームが発表した五輪費用の膨張は、誘致段階で推定した7300億円が3兆円にまで膨れあがる可能性があるという。実に4倍である。だれも全体予算を管理していなかったし、そもそもの費用算定根拠が怪しいというのだから、当たり前の話である。

 

調査チームは費用削減策として、三つの施設、ボート・カヌー会場の「海の森水上競技場(予算491億円)」、バレーボール会場の「有明アリーナ(同404億円)」、水泳会場の「オリンピックアクアティクスセンター(同683億円)」の建設中止を提言した。

 

建設中止が提言されたボート・カヌー会場の「海の森水上競技場」は、かねてより多くの問題が指摘されていた。昨年時点で、国際カヌー連盟の幹部が「波や風の対策が不十分」と不満を洩らしていた(東京新聞20151022日)。ボート・カヌー団体の8割が五輪終了後、「海の森」に拠点を移すかというアンケートに対して、8割が「移転しない」と回答している(東京新聞2016113日)。理由は前述のとおり、波と風である。つまり、競技者からは全く支持されていない場所が選定されている。五輪が終われば、491億円掛けて作った設備が廃墟と化すのは目に見えている。

 

これに対して大会組織委員会の森会長は、既に決まったことをひっくり返すなと息巻いているが、そもそもの前提条件が崩れたのだから、計画の見直しは当たり前である。組織委員会の会長である森さん、事ここに至った責任は貴方も負うべきでしょう。

 

 

 

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