岡本行夫氏――ご逝去 (2020/5/8)

 

 

昨晩遅く、岡本行夫がお亡くなりになったとの訃報が入った。死亡原因はCOVID19の感染であった。

 

岡本氏は北米局北米第一課長の職を最後に外務省を退官し、45歳という若さでご自分の会社「岡本アソシエイツ」を立ち上げるという、希有な道を歩まれた方である。官僚からのいわゆるスピンアウト組であり、その後は外交コンサルタント、あるいは外交評論家として活躍された。

 

岡本氏は歴史観を含めて、アジア諸国と日本との関係、あるいは米国との関係に鋭い洞察力を持っていた。また、国際政治や外国について、一般の人にも分かりやすい言葉でそれを説明する能力に長けていた。

 

そのような点で、私は岡本氏を日本のオピニオンリーダーの一人として評価していた。彼はまだ74歳であり、日本の良識者として今後も活躍できる人、すべき人であった。

 

今から14年ほど前のことである。私は、横浜で彼の講演を聴いたことがあった。彼はその時、急速に経済成長する中国やインドが、経済と国際政治の場で力を持ち、日本はやがて世界の中で周辺に追いやられて行くであろうという話をした。

 

特に中国との関係で言えば、江沢民の下で進められた反日思想教育を受けた若者がやがて党の中核を担う地位に就いていく一方、日本は第二次大戦の総括をしないまま戦争の責任について本質を曖昧にしたことで、日本の若者はそれを過去のものとして忘れ去りつつあると、彼は指摘した。

 

そして、このことがやがて両国の関係において、難しい問題を引き起こすだろうという懸念を示した。両国の間でこの戦争責任の考え方についてすれ違ったまま時が流れ、さらに日本が戦争責任で頭を下げ続けるようになれば、日本にとってそれは最悪のシナリオになるとも述べた。

 

日中関係、そして日韓関係において、まさに日本が未だ抱え続けている政治的、外交的課題を指摘する言葉であった。

 

このように将来の国際政治と外交について鋭い洞察力を持った岡本氏がCOVID19の感染で急逝するとは、余りにも残念である。ご冥福をお祈りする。

 

 

 

説明: 説明: SY01265_古い出来事」目次に戻る。

 

説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: door「ホームページ」に戻る。