正月の金沢
(2024/1/8)
昨年夏に日本に戻った息子が金沢に住んでいることから、正月休みを金沢で過ごすことにした。加賀藩の文化が残る金沢の街は、私にとって、歴史と食の素晴らしさが魅力である。
金沢城跡と隣接する兼六園は素晴らしい。
昨年の7月に再建された金沢城鼠多門の内部は、お城好きならずとも、一見するだけで感動する。できる限り忠実に建物を再建していることは誰でも理解できる。戦国時代の終わりから江戸時代に掛けて、これだけの木造建築を作り上げた職人技は日本の文化として誇るべきだろう。
広大な兼六園にも職人達の技が隠されている。園内には小川が流れている。園そのものは小山であり、水源があるはずもない。中央には霞ヶ池があり、ここから水が流れ始めているように見えるが、この小さな池が無限に水を湧き出しているとは考えられない。
説明を読むと、犀川上流に水源を求め、約四キロメートルのトンネルで導水1/して兼六園の霞ヶ池に貯水するとある。なるほど、周りは全て池より低い土地であり、川からの流れが見えるはずもない。さらに霞ヶ池から地下の導水管を使ってサイフォンの原理により、白鳥堀から内堀へと上げ、さらに高い位置にある城中二の丸まで揚水するのは、まさに物理学の知識である。ウェブで検索すると、このサイフォンの技術を「伏越」と呼んだのだそうだ。
江戸時代初期に作られたこの用水が今でも機能しているのは、当時の土木技術水準の高さを示すものであり、用水を設計・普請した町人板屋兵四郎はまさに天才的な技術者である。
最後に、この金沢旅行の終わりとなる元旦に、能登半島地震2/が発生し、多大な被害が出たことには余りにも驚かされた。亡くなられたた方々に哀悼の意を表明するとともに、現在でも避難生活を続けざるを得ない大勢の方々が一刻でも早く元の生活を取り戻せるようになることをお祈り申し上げます。
鼠多門・鼠多門橋 |
金沢城石垣 |
1/ 辰巳用水
2/ マグニチュード7.6、最大震度7 <https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240101/k10014305071000.html>