大学入学共通テスト――ムーミン谷騒動 (2018.1.23)
大学入試センター試験でムーミン谷の所在地を問う問題が出て、それはフィンランドだ、イヤ違うとの論争が持ち上がった。正解について問い合わせた新聞社に対して、大学入試センターは、「回答をフィンランドとした根拠について、日本の書籍に作者のコメントとしてフィンランドにあるムーミン谷との記述が見られる」と回答して、結局、それを押し通したようである。
そもそも、ムーミンのお話しはマンガの世界である(マンガではない、アニメであると言う人もいるが、アニメを日本語に直せばマンガである)。マンガの作り話が、大学受験者にとって求められる知識かと言えば、私はそう思わない。インターネット上には、この問題を良問であると支持する意見もあるが、その理由は作者がフィンランド人であることを知っていれば回答できると言った程度の話である。マンガの作者を知っていることが受験生の必要知識かという点で、私は全く賛成しない。
私には、共通試験がテレビのクイズ番組化しているとかしか思えない。もし、フィンランドについての地理の問題を出すのならば、マンガの作り話を問うよりも、ロシアと西欧諸国との間に挟まれ、地政学的に難しい状況に置かれてきた中で、民主主義を育み、高い競争力を手にしてきたことを知識として問う方が遙かにまともである。
いやしくも最高学府である大学に入るための知識を評価するのであれば、それは大学生として求められる基礎知識や学問の理解度であり、マンガの架空の知識ではない。マンガはあくまでも趣味の世界である。ムーミンの名前くらいは知っているが、その内容までは知らない。ましてや作者など知らない。しかし、宮崎駿のマンガならよく知っているという人がいてもいい。それだけの話である。