言わずもがな、お金の取引にはコストが掛かる (2022/1/17)

 

 

今日から、ゆうちょ銀行で硬貨を使って預け入れや払い戻しする場合の手数料が有料化された。厳密には、窓口であれば50枚までならば無料であるが、自動支払機(ATM)では1枚でも100円の手数料が掛かる。

 

硬貨の出し入れではないが、似たような話は銀行でも起きている。通帳の発行に手数料を導入する、あるいは長期に利用がない口座から維持手数料を取るという動きである。

 

一部の利用者から不満が聞こえるが、商取引であれば当たり前の話である。金融機関にとって、お金を預かったり、それを移動させたりすることにはコストが掛かる。金を預けるお客さまが神様だと思っているならば、それは大きな間違いである。

 

銀行は金を動かすというサービスを提供することで利益を得ている。とりわけ今の低金利時代で、貸し出す金利は低く、自ずと預金者に支払う金利も低くなる。大手都市銀行の1年もの定期預金の金利は0.002%である。つまり100万円預けて1年後に受け取る金利は20円である。言うまでもなく、この20円にはさらに所得税が掛かる。

 

そう、間接金融というかつての銀行のビジネスモデルは、すでに時代遅れとなってしまった。米国の銀行はすでに30年前からそれが分かっており、ビジネスモデルを変えていった。それが出来なかった日本の銀行(ゆうちょ銀行も含めて)は、コストばかり掛かって利益が出せない構造に陥り、今苦しんでいるわけである。

 

これは、過去30年間、日本経済が停滞し続けたことの一面を示しているとも言える。全てにおいて変化に後ろ向きで、過去の栄光にしがみ付き、気が付いたときには、世界の進歩から随分と遅れてしまった。

 

このコロナ禍でデジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉が持てはやされるようになった。DXは単にデジタル化を言っているわけではない。その目的は、デジタル化が進む中でビジネスの進め方を変化、革新化させて付加価値を高めていくことにある。

 

個人の生活に目を向ければ、私は日常生活で現金を支払う場面が極めて少なくなった。一番手っ取り早いのはアップルペイである。端末に腕時計をかざすだけで全てが終わる。読み取り端末がない店でも、大方はクレジットカード支払で済む。利便性は店にとっても同じである。コロナウイルスの感染を恐れて、店員も、紙幣や硬貨を直接触ることに抵抗がある。また店にとっても、現金取引に要する手間は人件費に跳ね返る。カード会社に支払う費用が掛かっても、省力化で全体のコストを削減出来れば、それはペイする。

 

今回のゆうちょ銀行や都銀・地銀がお金の取引に掛かるコストを預金者に負担させること、すなわち受益者負担は、銀行がDXを進める上での一つの動きであると、私は思っている。

 

 

 

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