米国中間選挙 (2022/11/11)
今週火曜日に行われた米国中間選挙の最終結果は未だ出ない。トランプ氏が期待したような共和党の圧倒的勝利は実現しそうにない。
エコノミスト誌は、これまでと同様、米国の選挙予測を記事としてし出してきた。
同誌のモデル分析では、確かに下院選挙で共和党の優勢は表れているが、圧倒的な差ではなく、調査の誤差を考えればやや優勢と言った程度にとどまる(民主党210.5議席に対して、共和党224.5議席)。ちなみに今日時点で確定している議席数は、民主党191議席、共和党209議席で、どちらも過半数の218議席に達していない。
上院も、モデルの予測(民主党49.2議席に対して、共和党50.8議席)どおり、まさに拮抗している。現時点で、これも民主党48議席、共和党49議席と、過半数の51議席に届いていない。
中間選挙で、野党が大統領の与党を下院で逆転するのは、いつものパターンである。そうならなかったのは1865年の南方戦争以来、3回しかない。オバマも2010年に、トランプ2/も2018年にそれを経験している。つまり、バイデン大統領も過去と同じ経験をするであろうと言うに過ぎない。
そしてトランプの推薦した候補は、思うようには当選しなかった。トランプが未だに2年前の大統領選は不正があった、本当は俺が2期目の大統領のはずだったと騒いだ所で、一部の熱狂的なトランピアンには受けようが、さすがに共和党支持者であっても、「あれじゃ、とても支持できない」と思う者は少なからずいる。
そんな意味で、民主党の危機を救ったのは、他ならぬトランプだったのだろう。今日のCNNビデオに、引退したペンシルベニア州の上院議員パット・トゥーミーの対談がある。彼が言うには、バイデンは人気も無く、政策で失敗もしている。ところが、そんな中で今回の州知知事選挙3/で勝てるはずであったダグ・マストリアーノが負けたのはトランプが彼を支持したからだと、あからさまに語っている。
エコノミスト誌は、今回の選挙で言われていた共和党の “Red1/ wave(赤い波)” を ”Red ripple(赤いさざ波)” と呼んだが、まさにそのとおりになった。
バイデン大統領と民主党が党を立て直すには、今回の中間選挙の結果が良い機会になるのだろう。これもエコノミスト誌の言葉であるが、民主党はこれまでのように自己主張を通そうとするのではなく、本当に米国のために民主主義を立て直すようにすればよい。
民主党は今回の選挙を比較的上手く切り抜けることができたのだから、バイデン大統領は残り任期2年の政権運営に向かって幸運を得たようなものである。もっとも、バイデンが2期目に出馬できるかと言えば、私は、さすがにそれはないと思っている。82歳の老人に大統領の職は務まらない。
副大統領のカマラ・ハリスが次期大統領選に出馬するならば、それは個人的には面白い話と思っている。女性、かつアフリカ系、かつインド系米国人という初の大統領の誕生である。
1/ 赤は共和党の色。民主党は青。
2/ トランプが大統領であった2018年の中間選挙では、民主党は改選前に比べ30議席ほど増やした。
3/ 中間選挙では、議会の上下両院の選挙のほか、全米50州のうち36州で知事選挙が行われる。