マティス国防長官 (2017/2/5)
トランプ大統領は選挙戦中に、日本は米軍駐留費を100%負担しろ、米軍に依存するのではなく核武装しろと相当物騒な発言をしていた。当然日本では、トランプ新政権の安保条約に関わる政策の変更は相当気がかりであった。
そんな中、来日したマティス国防長官は、安倍首相や稲田防衛大臣との会談で、尖閣諸島が日米安保の適用範囲内であること、米軍駐留費の分担の引き上げには触れず、現在の負担形態が他国のモデルであると発言した。これは、これまでの米国の政策が変わるものではないという意思表示であった。
ところでマスコミは、マティス長官が「狂犬」と呼ばれていることをしきりに話題に取り上げ、お茶の間ショー的な取り扱いで騒いでいた。
しかし、彼が1月12日に議会上院が長官任命を承認した祭の公聴会での発言を見れば分かるように、私には、彼は非常にまっとうな人物という印象がある。
トランプ大統領は選挙中からロシアとの協力、プーチン大統領への賞賛、さらにはNATOへの批判を口にしていたが、マティス氏は上院軍事委員会において、ロシアは明らかにNATOの弱体化を狙っており、米国はNATOを強く支援して行かねばならないと、まったく反対の発言を行っている。(The Wall Street Journal < http://www.wsj.com/livecoverage/hearings > に記事がある)
マティス長官にマスコミが面白おかしく取り上げる凶暴な強面のイメージはなく、私の目には、冷静かつまっとうな防衛外交を行うことが出来る知性を兼ね備えた元軍人であると映る。
彼は、トランプ大統領が同盟国に発してきた少々異常とも言える非難の発言を共和党の国防についての平均的な認識に押し戻すことに、自らの役割を置いているのではないのだろうか。少なくとも、彼が国防省長官へ就任したことは、共和党の立場からは良い選択だったように見える。
私は、日本のマスメディアがろくに調ベもしないで、読者や聴取者の目を引きそうな「狂犬」というニックネーム、そして断片的な彼の発言を取り上げて騒ぎ立ててきたことに相当問題があったと思っている。ところで、Dragoner (石動竜仁) と名乗るブロガーが「マティス国防長官、「狂犬」呼称は適切?」という記事をYahooニュース < http://bylines.news.yahoo.co.jp/dragoner/20170204-00067361/ > に載せているので、これは参考になると思う。