いかがわしさが匂うサマータイム導入の提案 (2018/8/17)

 

 

このところちょっとマスコミを賑わせたのが、五輪・パラリンピック大会組織委員会が政府に提案したサマータイムの導入である。 

 

案の定、出てくる意見は反対論ばかりである。やれ、サマータイムは睡眠障害を起こす、心筋梗塞のリスクを増大させる、コンピューター業界はシステムの変更に大変な労力とコストが必要になる、本当に省エネに繋がるかどうか極めて怪しいと、出てくるは、出てくるは。過去に何度かサマータイム導入論が出され、そのたびに反対論に叩かれて日の目を見なかったのはご存じの通りである。

 

個人的には、そこまでも袋だたきにせずとも、一度試してみてはと思わないでもないが、今回は言い出しっぺの大会組織委員会の提案理由が余りにもいかがわしすぎた。

 

曰く、「低炭素社会作りに向けた五輪のレガシーにする」。一見ご立派な志にみえるが、本心は今年のような猛暑のもとで野外競技を開催することに相当不安の声が出ていることにある。とりわけマラソンが大問題である。マラソンの開始を早朝7時スタートとしても、今年の様な猛暑ではとても選手が持たない。そこで5時スタートにしたいので、手っ取り早く日本中の時間を早めてしまえというわけである。

 

国民にしてみれば、人の生活にまで立ち入るな、お為ごかしをいわず、問題があるならば大会主催者側で対応しろということになる。

 

そもそも日本で一番暑い7月下旬から8月上旬にオリンピックを開催すること自体に問題があることは、端からわかっていた話である。開催期間に無理があるならば、国際オリンピック委員会に期間変更を求めればよい。そう、日本でスポーツをするのに一番よい季節は秋なのです。そもそも真夏の開催が決まった経緯が、欧米からのテレビ放映権収入を稼ぐために、他のスポーツとの競合を避けたという、これまたいかがわしい理由にある。

 

テレビ放映権収入の最大化という「銭欲」を取るのか、選手への負担の軽減という「道理」を取るのか、ジックリお考えになるがよい。(正直言って、このままいけば、私は、開催中に選手が本当にバタバタと倒れるのではないかと思っている。)

 

戦時中ではあるまいし、政府の命令一下、何でも出来ると思ったら大きな間違いである。とりわけ今回のサマータイムの議論、話の持っていき方が余りにもいかがわしすぎた。

 

 

 

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