総括:九州電力「やらせメール事件」 (2011.10.1)

 

 

フクシマ事故から半年、この間、原子力を巡って様々な出来事が起きた。国民にとって最大の議論はといえば「脱原発」問題になろうが、原発と社会および企業のモラルを問うたのが九電の「やらせメール事件」であった。当初は、九電という一企業のスキャンダルと見えたが、それが佐賀県の古川知事や自民党系県議との不透明な関係にまで話が発展したことで、まさに企業と政治家の倫理が問われるに至った。

 

そして、九電の第三者委員会の調査結果が101日に公表された。その結論は非常に明快なものであった。

 

フクシマ事故が契機となり、社会が原発の運営に非常に強い関心を持つようになったことで、電力会社は事業運営について以前とは比較にならないほどの透明性が求められるようになった。ところが、九電はその社会の変化に適合できないまま、玄海原発の再開を巡って、相も変わらず県および古川知事との「なれ合い」、「もたれ合い」の関係を維持し、またもや説明会での「やらせ」を繰り返した、というのが総括である。

 

報告書の結論は、過去報道されてきた一連の事実関係からすれば、誰も否定できない至極まっとうな内容である。ところが、この調査結果に対して、古川知事は依然として責任を否定し、九電の真部社長も「すべて悪いとは言えない」というコメントを出している。

 

私には、報告書が出るに至ってもこのような発言をするとは、まったくの時代錯誤としか思えないが、これが九電と佐賀県の風土なのだろうか。彼らにとって、コンプライアンスの遵守という言葉は、未だに、どこか別の世界の規範なのかもしれない。

 

 

 

 

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