『後列の人——無名人の戦後史』 清武英利 20217月 文藝春秋

 

 

著者は長きにわたって読売新聞社に席をおいていたジャーナリストであり、この本は様々な無名人の生き方を描いたルポルタージュである。人によっては清原という名を聞いて、巨人軍球団代表当時、会長の渡邉恒雄を告発したことで解任された事件を思い起こすかも知れない。

 

ここに登場する人物は、日本のロケット開発の礎を作った糸川英夫を除けば、題名のとおり世にその名を知られることはほとんどなかった。

 

一口で戦後と言っても、終戦直後の混乱からつい最近の東京オリンピックに至るまでの76年間で、世相は大きく変わった。彼らは、そんな移りゆく世の中で日々起きる社会の矛盾や不公正に対して、無名ながらも抗った人達である。

 

ここに登場する18人の中では、サラリーマンとして人生を送った人の話が多い。端から見れば、本当に貧乏くじを引いたとしか思えないような仕事であったが、彼らは沸き起こる怒りと責任感からそれをやり通した。例え、「そんな事に拘ったとこで、何の得にもならんだろう」と言われようが、それが人生の矜持であった。

 

バブル経済の終焉とその後の破綻処理、当事者には、予想すらしなかった己の人生が崩れ落ちる出来事である。そのような場面に望んで、責任を放棄して逃げていった経営人に文句や恨みつらみを嫌というほど言いたかったであろう。しかしそれでも、彼らは彼らなりのケジメを付けた。こんな馬鹿げた失敗や混乱を社会で二度と起こさないことを願う、ただそれだけのことが動機となった。

 

そんな名もなき人達が辿った人生のお話しである。

 

 

 

 

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