菅首相、勝負所 (2011/1/15)
昨日、菅首相は第二次改造内閣を発足させた。この半年、リーダーシップがないと叩かれ、支持率も下がり続けてきたが、彼にとっては、ここが勝負所となる。失敗すれば、後は菅直人と民主党の終焉しかない。
そもそも基をたどれば、民主党は、左は旧社会党から右は自民党からのスピンアウト組までの寄せ集め所帯であり、政策の一本化など所詮無理な話である。菅首相自体は、税制、環太平洋パートナーシップ(TPP)への参加、農業問題などの改革推進を目指していたが、党を纏めるとなれば、そう簡単にはいかない。広く党の意見を聞けば、「消費税の値上げなどとんでもない。大企業優遇などとんでもない」と声高に叫ぶ御仁もいる。結局この半年間、何も決められないまま、ずるずると時が過ぎてしまった。
今回の改造内閣についても、その顔ぶれからいろいろと批判は出ているが、この際、思い切ってやればよい。民主党に対する庶民の多数意見は、「自民党の体たらくから、民主党への期待が大きかったが、結局はガッカリ」というところだろう。今のままでは、次の選挙で民主党がぼろ負けするのは、誰の目にも明らかである。
日本経済、そして社会の低迷を嘆いて、いつの間にか20年が過ぎ去ってしまった。つくづく改革が出来ない国である。
菅首相も分かっているように、日本経済を活性化させるためには、自由貿易協定の締結と法人税の値下げは不可欠である。グローバル化がますます進む中で、市場展開と相まって、事業環境のよいところを求めて、企業が投資を決めるのは当然の話である。今のままでは、海外から日本への投資は進まず、逆に国際展開する日本企業の日本脱出はさらに加速する。結局、日本に残るのは、国際競争力のない企業と付加価値のない産業だけである。
彼は、これまでの民主党公約の修正を視野に入れている。実現性のない公約など空手形に過ぎない。何もしないまま、出来ないまま政権を失うのか、さもなくば思い切ってやってみるのか、ここが勝負所である。民主党にとって、次のチャンスはもうない。