菅内閣が発足して2週間
(2010/6/20)
先月末に「鳩山内閣の○と×」という話を載せたが、鳩山政権は一年も持たず、結局、菅さんに首相の座を渡す結果となった。この頃のCNNニュース、フィナンシャル・タイムスの記事を見ると、菅さんの首相就任を伝える記事の枕詞には、「過去4年間で5人目の首相」という修飾語がついて回っていた。ザ・エコノミストの6月5-11日号の表紙も、翻る「日の丸」から「日」の部分だけが「白地」を残して落下していくという図であった。曰く、「リーダーレス・ジャパン(リーダー不在の日本)」というわけである。
少なくとも、海外のメディアが指摘するように、こう首相がころころ変わるのでは、国際政治の場で日本が信用されなくなっても仕方がない。確か、G5の席であったか、イタリアの首相が「日本は、朝首相であった人が、夕方にはもういなくなっている」という意味の発言をしたと記憶している。
自民党時代の小泉さん以降の3名の首相は確かにひどかったが、鳩山さんもリーダーシップが取れなかったことは事実である。個人的には、鳩山さんは政治家として真面目な人ではあったものの、政治家としてのしたたかさに欠けたことが命取りとなったと、思っている。願わくは、菅さんだけには、鳩山さんの轍を踏まないでいただきたい。
この2週間の菅さんの発言を見ていると、かなり明確なメッセージを国民に送っているという印象を受ける。普天間基地をきっかけにした日米関係のギクシャク、社民党との関係、財政の立て直しと消費税の値上げなど、かなり明確な意思表示をしたことで、少なくとも私は彼を支持する。
来月の参議院選挙を控えて、民主党も選挙結果に大きく影響を与える問題は避けつつ、選挙で勝利したいところであろう。野党の自民党が総崩れになっている状況なので、鳩山さんと小沢さんで大きくミソをつけたものの、新聞の世論調査の結果を見る限り、菅内閣の支持率はかなり高く、民主党には、それほど大きな危機感はないのかもしれない。
選挙戦があるたびに、政治家は世論の動きに一喜一憂し、思うような政権運営ができないのはお気の毒ではあるが、アメリカのオバマ大統領も、ドイツのメルケル首相も同じ憂き目を見ている。それでもこのお二方は、したたかに政権を運営している。一国民の立場で言えば、菅さんには1年を経ずに退陣という事態だけは絶対に避けていただきたい。