森友学園と稲田朋美防衛大臣 (2017/3/14)
籠池理事長が設置申請を撤回したことで、森友学園の開校に限って言えば事は終わりとなった。
勿論、申請にあたっての不正記述(というよりも私の目から見れば虚偽申請にしか見えないが)、彼自身の経歴詐称、愛知県の海洋学園を巻き込んだ虚偽記載を含めれば、学校設置認可を巡っての疑惑問題を大阪府がこれでおしまいにしてくれるとは思えない。
森本学園にとってさらに深刻な問題は、小学校の開校が出来なくなったことで大蔵省が一度売り渡した土地を買い戻すと言っていることである。いずれにせよ、全ては彼らの身から出た錆でしかない。
この森友学園問題が思わぬ方向に飛び火した。
稲田防衛大臣はこの森友学園問題が騒がれ始めた当初、学園の教育方針を擁護していたが、籠池理事長がマスコミとのやり取りの中で稲田防衛大臣とは以前からお付き合いがあったと言い出してしまった。
稲田氏は、衆議院の予算委員会で籠池氏との付き合いはないと否定したものの、彼女が弁護士として学園の訴訟問題に関与していたという証拠が出てきてしまった。そんな証拠を突きつけられて、とうとう稲田大臣、面識を否定した発言を訂正せざるを得なくなった。
籠池氏と稲田氏、ともに幾つかの共通点がある。
籠池氏は信念を持った教育者と自称し、稲田氏は信念を持った愛国的な政治家を自称する。両者に共通するのは、右翼的あるいは異様なほどのナショナリズムに基づいた教育観と政治観である。もう一つの共通点は、息をするが如く平気で嘘をついて何ら恥じることのない面の皮の厚さである。
お二人ともご立派な意見を曰うが、その倫理観とは裏腹に、自らの行動には全くそれが伴っていない。国への忠誠や親孝行もいいが、それ以前に、公的な立場で嘘をついてはならないという、人として守るべき最低限の道徳を身につけることである。残念ながら、彼らにはそれが欠けている。
今回の問題で、籠池氏だけでなく森友学園そのものが社会から否定され、教育界から退場することもあり得るだろう。彼らにはそれなりのつけを払って頂く事になる。
一方、稲田大臣については今のところ首は繋がっているが、このまま行けば安倍内閣そのものに危機を招くことにもなりかねない。
そもそも、稲田氏に大臣の器があったかと問われれば、私は否定する。単なる右翼的な政治家というだけで、防衛省を率いるに足る政治ビジョンを持っているわけではない。たまたま、安倍首相が女性登用を進める中で、数限られる女性議員の中から、たまたま彼女が任命されたに過ぎない(と私は思っている)。
リーダーシップのない人物が組織の長になったところで、人望など得られるはずがない。その結果が、昨年、新聞種になった秋田県の自衛隊募集ビラ事件である。「稲田防衛大臣は少々頼りないですが。・・・・頼れるあなたは是非チャレンジを!」。防衛省内における彼女の存在意義を良く表した言葉である。