日中文学者対話作家 蒋方船 (2016/3/9)

 

 

昨晩は、国際交流基金と日本ペンクラブが主催する日中文学者対談に出席してみた。中国からのゲストは蒋方船さん。と言っても、日本で彼女を知っている人は殆どいないだろう。残念ながら、未だ日本語に翻訳した作品は出ていない。

 

彼女、まだ26歳とお若いが、非常に頭の良い、優秀な作家である。この対談には西木正明さんが出ていたが、対談では明らかに蒋さんがリードしていた。彼女の経歴はなかなか華麗で、12歳の時にすでに新聞に随筆を掲載していたという(読者は、40代のおじさんがその文章を書いていたと思っていたらしい)。そして、20歳で人民文学賞を受賞した。現在は作家活動に加え、テレビ番組に出演するなど、幅広く活躍しておられる。

 

などという経歴を書くと、いわゆるエリート作家のように聞こえるが、そうでもない。中国は言わずと知れた言論統制の国である。典型的には、中国作家協会という組織があり、これはまさに政府公認の作家が所属する。彼女はこの作家協会には属していないし、入る気もないようである。

 

私など、政府の公認組織に所属せずに自由な執筆活動が出来るのだろうかと思っていたが、彼女は別に困っていないと言う。少なくとも、ものを書くこと、それを発表することで困ったという経験はない。今後も個人として独立した執筆活動を続けたいと言う。もちろん、政府の批判や反体制的な話は出来ないが。

 

対談では、中国政府の言論統制など余り気にせず、相当自由な発言をしいた。

 

彼女は、現代を生きる中国の若者に強い関心を持っている。今後の執筆のテーマとして、様々な人々の思いや社会の現実を取り上げたいが、その一方で政治的な規制があるので、それを寓話のような形で表現したいと言う。深刻に考えることなく、さらりとそれを言ってのけるのはさすがである。真実に対する探究心、好奇心、そして才能が為せる技なのかもしれない。

 

今回の来日を機会に、どこかの出版社が日本語訳を出してくれることを願う。

 

 

 

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