ジェームズ・マティスの辞任 (2018/12/21)

 

 

 昨日のCNNニュースにマティス国防長官がトランプ大統領宛に出した辞任届の原文が掲載された。

 

 かねてより大統領との間で意見の相違があったことは様々な形で報道されていた。とりわけトランプ大統領が同盟であるNATOを貶し、暴言を吐き続けたことを、彼は諌めたようであるが、トランプ氏はそれに耳を傾けるような人物ではなかった。NATOとの関係ばかりでなく、シリアからの米軍撤退、朝鮮半島での米軍駐留問題などで、マティス長官とトランプ大統領との間には相当考え方に違いが出ていた。それがついに限界に来てしまい、辞任を決めたということなのだろう。

 

 大統領に宛てた辞任届で、明確に彼の主張が示されている。彼は信念として同盟やパートナーシップという素晴らしく包括的なシステムの強化が米国の強さと密接していると述べている。そして、米国が自由世界の重要な国として残るためには、そのような同盟関係を強化し、かつ同盟国に対する敬意を払わなければ、米国の利益を守ることはできないし、軍は有効にその役割を果たすことができないとも述べている。これはトランプ氏に対する痛烈な皮肉であり、かつ正論である。

 

 そして彼は、大統領には自身と同じ考えを持つ人物を国防長官に選ぶ権利があると述べて、辞任を伝えた。

 

二年前、彼がトランプ大統領から国防長官に任命された時、マティス氏はタカ派という評価を受けていた。しかし、私はタカ派あるいはハト派という言葉は政治家に向けられるべきものであり、軍人を評価する言葉ではないと思っている。

 

国防長官に求められる資質とは、自国と民主主義の価値観を守るための軍事行動が正当性を持つものなのか、また軍事行動が国と戦地に赴く軍人達に対してどれだけの損害を与えるものなのかを冷静に判断する能力である。この点で、私はマティス氏が冷静な判断能力と賢さを持った立派な軍人であったと思っている。

 

 トランプ政権では彼の元を去って行く人材が後を絶たない。その一方で、困難な問題が増大していく。政権が末期症状を示し始めているようにしか見えない。

 

 

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