イスラーム (2016/7/13)

 

 

一昨日開かれた日本ペンクラブの勉強会のお題は「イスラームと戦争」であった。バングラデシュでのテロ事件、そして昨年のシリアでの後藤さん殺害事件と、日本人が巻き込まれたことで、日本にとってイスラム国に絡んだテロが決して他人事ではないことが分かった。その半面、イスラーム(回教)に対する何とない恐れのようなものが、日本人の心にも芽生え始めた気がする。回教に対する知識が無いだけに、勝手な思い込みと漠然とした恐怖心がそうさせるのだろう。

 

そんな中、この勉強会はなかなか面白かった。弁護士の林純子氏とジャーナリストの常岡浩介氏のお二方が、講師として招かれた。共に回教徒である。

 

林弁護士のお話。回教はキリスト教やユダヤ教と同じルーツにあり、全く別に発生したものではない。私も、回教がイエスキリストの存在を否定しているわけではないこと、回教徒にとって唯一の神はアッラーであり、イエスキリストは神ではなく預言者にすぎないこと、くらいの予備知識は持っていた。が、回教の教えの中に初めての人間としてアダムとイブが存在していること、モーゼの教えのモーゼが存在していることは新たな知見であった(ただし、アダム、イブ、モーゼの回教での名前は異なる)。

 

もう一つの新しい知見は、日本国内にも十数万人の回教徒が存在し、うち12万人は日本人であるという事実である。勿論、日本にも回教徒がいることは想像に難くないが、その数は決して少なくない。

 

日本人、とりわけ女性が持っている偏見。女にあんなベール(ブルカ)を強制して、人権を侵している(ちなみに、うちのカミさんもそんなことを言っていた)。でも、林弁護士の意見ではそうでもない。そもそも、回教徒の女性が被り物をすることを厭がっているわけではないし、ごく当たり前に身に付ける。そうそう、林弁護士もヘジャブ(スカーフ)を身につけている。

 

男女の権利の差、確かにあります。そもそも、回教では男は女を守らねばならないし、養う義務がある。相続では、女は男の半分しか貰えない。しかし、林弁護士によれば、男は女の倍額の相続を受けるが、彼はそれを家族のためにも使わなければならない。一方、女は半額の相続であるが、それは彼女が一人で好きに使って良い。ま、そんな点で公平性があるというわけである。

 

共働きは、回教徒の国でも珍しくない。知識を必要とする専門的な分野では、女性の社会進出は中東の国々の方が日本より進んでいると、私は思っている。日本であれば、共働き世帯の生活費は夫婦で共に負担するのが普通であろう。しかし、回教の世界では、男は生活費を持たねばならない。女は、自分の収入は自分で使って良いというのが前提という。もちろん、経済的な理由で妻の収入が生活費にも充塡されることはあるが、それは妻の「喜捨」という事になる。なるほど、目から鱗であった。

 

今回は、いろいろと勉強させて頂きました。

 

 

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