中国の力はもうピークなのか? (2023/5/13)

 

 

このタイトル“Is China power about to peak?”、今週のエコノミスト誌の記事である。経済力のみならず、中国の軍事力、とりわけ巷で囁かれる台湾侵攻が起きれば地域の安全を大きく揺るがす。まだ米国に比べれば少ないが、中国は軍事費を着々と増加させ、核弾頭の保有数も増やし続けている。

 

世界第二の経済大国である中国が、権威主義国家であるがゆえに地政学的な脅威となってきていることは、今更口にするまでもない。その結果、米国は中国が体制上のライバルであると見做し、先進技術の移転に強い制限をかけた。また、欧州もこれまでの対中政策を見直し始めた1/

 

中国は1978年の対外開放からこれまでの間に、年率9%という驚異的な経済成長を遂げた。今年来年でいえばそれは5%まで鈍化したが、それでも欧米日本と比べれば高い成長を続けている。

 

中国がやがて米国経済を凌ぎ、世界のリーダーとなるのではないかという話は、これまでも何度か語られてきた。果たして、中国の経済は今後どうなるのだろうか。

 

中国が置かれている条件は今大きく変化している。その一つが人口の老齢化である。昨年、中国の人口はピークを打ち、インドに抜かれた。国連は、今世紀半ばに中国の労働人口は25%減少すると推計している。労働者1人あたりの付加価値生産がこれまでどおりに上がり続けるわけではない。その一方で老人福祉に必要な金は膨れ上がる。日本以上に老齢化問題は深刻化するだろう。

 

中国の政治体制がどうなるかが二つ目の問題である。これまでの慣例を破り第三期目に入った習近平は、おそらく今の地位を終身手放さないだろう。古今東西を問わず、独裁は政治の腐敗を助長し、社会経済の革新を阻害する。

 

かつてゴールドマンサックスは、中国経済が米国のそれを2026年に追い抜き、今世紀半ばに50%上回ると予測した。しかし今は、中国が米国に追いつくのは2035年で、経済規模は15%上回ると予測を下げた。

 

一方、中国が米国を凌ぐことはなく、2035年で米国経済の90%の規模をピークに、再び衰退するという悲観的な予測もある。

 

現実がどうなるかは分からないが、21世紀半ばまでは米中二つの大国が対立しつつ併存するのだろう。そのような中で、日本の経済と安全保障が揺さぶり続けられることだけは間違いない。

 

 

 

1/     イタリア政府高官は、来年初めに期限を迎える中国との「一帯一路」構想を巡る協定について、更新する可能性は非常に低いとの認識を示した。(ロイター通信 2023/5/4

2/     EU加盟27カ国の外相は、512日ストックホルムで非公式会合を開き、対中国政策の見直し案について議論した。今後、対中政策の見直し案の詳細を詰め、6月の首脳会議で議論する。(朝日新聞デジタル 2023/5/13

 

 

 

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