トランプ大統領——不都合な出来事 (2018/9/17)
秋の中間選挙を控えたトランプ政権にとって、この二週間でまたまた不都合な出来事が起きた。
一つは米国を襲ったハリケーン「フローセンス」の接近を前に、昨年プエリトリコで多大な被害をもたらしたハリケーン災害について、トランプ大統領が政府の支援は無名の(讃えられることがなかった)成功であったと発言した。当然、この発言は袋だたきの批判を浴びた。何が成功だ、とんでもない。3000人の死者を出し、未だに被害の爪跡を残している。
トランプ大統領がなぜこんな発言をしたのかわからないが、ハリケーン「フローレンス」が近づいていたので、政府は万全を尽くして災害対策するぞという意気込みを国民に示そうと思っていたのかも知れない。しかし、それは逆効果でしかなかった。しかも、北カロライナ州に上陸したハリケーンは多大な洪水被害をもたらし、今日のCNNは18人の死者を出したと伝えている。
毎度のことながら、彼の愚かさゆえの失言である。
二つ目は、最高裁判所の判事の任命である。現在上院でトランプが指名したブレット・カバノーの指名承認公聴会が開かれ、信任投票に入る寸前のところに来ている。彼は保守派の裁判官として知られ、この7月に退官した中道保守派のアンソニー・ケネディ判事の後任候補である。昨年、トランプ大統領が指名した保守派のニール・ゴーサッチが判事として承認されており、もし、カバノーが承認されれば、最高裁の判事は5対4で保守派が優勢となる。このため、カバナーの公聴会には、民主党と国民から強い承認反対意見が出ている。
このままいけば、時間切れで投票に入り、多数派である共和党議員によって任命が承認される事になるとみられていたが、いきなりとんでもない事が起きた。カリフォルニアの大学教授が高校時代にカバノーに襲われたと発言した。要は、酔っ払ったカバナノーが彼女を襲って、服を剥がそうとしたというものである。この教授はクリスティーン・ブレイジー・フォードと実名を明かした。言わば「#ミーツー」事件である。
公聴会にあたってカバノーの身辺調査は行われているが、30年前の高校時代のことまでは調べていない。民主党の議員の中には、投票に入る前に、FBIが事の真偽を調査すべきという声が出ている。共和党の中にも取りあえず投票を延ばしすべきという意見がある。さらに、新任か不信任かまだ立場を明らかにしていない共和党議員もいる。もし彼らが反対票を投じることになれば、民主党議員はまず全員が反対票を投じるであろうから、任命は承認されないだろう。
公聴会は終身の最高裁判事を決める場であり、この手のスキャンダルはカバノーにとって命取りになりかねない。もし、共和党がこの事件を無視すれば、11月の中間選挙で当然しっぺ返しを受ける。
トランプ大統領にとって次から次に起きる不都合な出来事である。